科学の雑学Q&A 物理学・天文学・気象学

偏西風・貿易風・季節風の違いは?|疑問を2分で!

投稿日:2019年4月30日 更新日:

 

今回は『気象の雑学』として、

1、偏西風・貿易風・季節風の違いは?

2、なぜ風向きが違う?【仕組み&原理

という2つの疑問に、”わかりやすく・簡単に” 答えていきます。

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偏西風・貿易風・季節風の違いは?

偏西風・貿易風・季節風の違いは?

 

偏西風・貿易風・季節風の違い」は、ずばり

 偏西風 ⇒ 【西】→【東】にずっと吹いている風(緯度30~60度)

 貿易風 ⇒ 【東】→【西】にずっと吹いている風(緯度~30度)

 季節風 ⇒ 【季節】によって風向きが大きく変わる(ほとんど正反対になる)風

で、「風向きが違う理由(仕組み&原理)」は

 偏西風・貿易風 ⇒ ① 【緯度30度(鹿児島あたり)】近くで赤道からやってきた暖かい空気が地面に落ちてくること|② 地球が自転していること

 季節風 ⇒ 【】と【】で暖まりやすさ・冷えやすさ(比熱)が違うことで、大きな気温差が発生すること

です。

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まずは簡単に「偏西風」と「貿易風」の仕組み&原理をみていきましょう!

 ①【赤道はいつも気温が高い!

 なぜ赤道は1年中暑い?

A.地球が丸形なので、赤道には太陽の熱が真っすぐ届きやすいから!(← 単位面積当たりの熱量が高く、空気中で冷やされる時間が短い)

②【気温が高い】と【空気も暖かく】なって【軽く】なる!

 なぜ気温が高いと空気が軽くなる?

A.暖かいと空気が膨張するから(← 同じ重さの空気なのに体積だけ大きくなるから、単位体積当たりの重さは軽くなる)

③ 軽くなった空気は【】に移動する(← 上昇気流 ≒ 低気圧)

④ 上に行った空気は風に乗って北や南に移動する

⑤ 赤道から離れるにつれて【気温は下がっていく】ので、暖かかった空気は【どんどん冷やされて】いく

⑥ 暖かい空気が軽かったのと反対で、【冷たくなった空気は重い】のでだんだん地面に落ちてくる(← 下降気流 ≒ 高気圧)

※ 地面に落ちる場所がだいたい緯度30度あたり

⑦ 地面に落ちてきた空気(高気圧)は、上昇気流が発生している低気圧に向かって進む(大きな低気圧は赤道付近と緯度60度あたりにあることが多い)

 なぜ風は【高気圧】→【低気圧】へと吹くの?

A.低気圧では上昇気流が発生しているので地面の空気が少なくなる。逆に高気圧では下降気流が発生していて空気が多くなっているので、空気が多い方から少ない方へ、つまり高気圧から低気圧へと吹くことになる。

⑧ 北半球の場合では、地球が【西】→【東】に自転しているために進行方向の右側に力が加わる(コリオリの力という慣性力;南半球では進行方向の左側)

 なぜ「コリオリの力」なんていう難しそうなものが働くの?

A.私たちは意識していないけれど、実は地球の自転と一緒にものすごい速さで回転している(赤道上ではなんと時速1700kmの速さ!;動いていると感じないのは周りの空気も一緒に動いているから)。ただその移動速度は場所によって全然違う(赤道はいっぱい動かなければならないけれど、北極点・南極点なら一歩も動かなくても自転できる)。時速1700kmで走っている電車の中から止まっている人に向かってボールを投げたらまっすぐ進まないように、赤道からやってきた風も北極・南極にいる人から見たらすごい曲がってみえるんだ。この見かけ上の力が「コリオリ力」だよ!(詳しくは『コリオリ力とは?|簡単に2分解説!』をチェック

⑨ 北半球では、緯度30度から北(北極方向)へ進む風は進行方向の右側(【西】→【東】)にそれる【偏西風】となり、南(赤道方向)へ進む風は進行方向の右側(【東】→【西】)にそれる【貿易風】になる

※ 南半球では逆向きのコリオリ力だが、南(南極方向)へ向かう風は左側にそれるので【偏西風】に、北(赤道方向)へ向かう風は左にそれるので【貿易風】になり、北半球・南半球で同じような風向となる

では続いて「季節風」の仕組み&原理も簡単にみていきましょう!

まず大前提として

 陸 ⇒ 比熱が小さい ⇒ 暖まりやすいけど、冷えやすい

 海 ⇒ 比熱が大きい ⇒ 暖まりにくいし、冷えにくい

 比熱ってなに?

温度を上げるのにどれくらいエネルギーが必要かを示す値のこと(比熱が大きいということは温度を上げにくいということ!)

 なんで陸と海で比熱が違うの?

陸は「表面だけ暖めればいい」から。海では、表面を暖めても海水が混ざり合うので全体を暖めるのに時間がかかる(熱容量・流動性の違い)。加えて、海水温が上昇すると水が蒸発することによる気化熱でまた温度が下がってしまう。ほかにも要素はたくさんあるけれど、感覚的に「いっぱいある海水を暖めるのは大変そうだなー」と感じてもらえればOK!

という性質があります。

つまり

 夏 ⇒ 【陸】はすぐ暑くなるのに、【海】は冬の寒さがまだ残って冷たい(温度:陸 > 海)

 冬 ⇒ 【陸】はすぐ冷えるのに、【海】は夏の暑さがまだ残って暖かい(温度:陸 < 海)

となり

気温が高いと空気が軽くなる

と説明したように

【陸】と【海】でより暖かい方の空気が上空に行く

⇒ 地表の空気が上昇するので空気が薄くなる

⇒ 【陸】と【海】のより寒い方では、空気が上昇していないので空気がたくさんある

⇒ 空気がより多い方(より寒い方)から、より少ない方(暖かい方)へ移動する

 なぜ空気が多い方から少ない方へ移動するの?

【空気が少ない】ということは空気による【圧力(ほかのものを押しのける力)が小さい】ということ。逆に【空気が多い】というのは【圧力が大きいこと】なので、空気が多い方の空気が押されて、スペースの開いている空気が少ない方へ移動する。

⇒ よって空気の流れである風が【空気が多い方】→【空気が少ない方】へと流れる

⇒ 【陸】と【海】でどちらがより暖かいか・寒いかは【季節によって違う】ので、夏と冬でまったく方向の異なる【季節風】が発生する

わけです。

さて、自分の中では簡単・簡潔にまとめたつもりでしたが、気がつけば3,000字にまで記事が膨らんでしまいました。

以上、『偏西風・貿易風・季節風の違いは?』について簡単にまとめました。

お読みいただきありがとうございました<(_ _)>

『偏西風・貿易風・季節風の違いは?』まとめ

 偏西風・貿易風・季節風の違いは? ⇒  偏西風:【西】→【東】にずっと吹く風(緯度30~60度)| 貿易風:【東】→【西】にずっと吹く風(緯度~30度)| 季節風:【季節】によって風向きを変える風

 なぜ風向きが違う【仕組み&原理】 ⇒ 偏西風・貿易風に関しては、自転による【コリオリ力】が働くことで風が曲げられるから(北半球は進路の右、南半球は進路の左)|季節風に関しては【陸】と【海】の温度の高低が季節間で真逆になることで、空気の密度差(気圧差)を埋めるための風向きが変わるから

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