科学の雑学Q&A

ガラスの雑学|割れやすい理由は?自然にもある?成分は?

投稿日:2016年4月9日 更新日:

 

食器や窓など、周りを見渡せばいたるところにある「ガラス」。

この「ガラス」が何でできているかご存知ですか?

実は、成分の違いによって「水晶」になったり「耐熱ガラス」になったりと種類は様々です。

 

今回は『ガラスの雑学ー割れやすい理由は?自然にもある?成分は?』として

1、ガラスって何?

2、ガラスが割れやすい理由

3、自然が生み出すガラス(天然ガラス)

の3つをご紹介したいと思います。

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ガラス|割れやすい理由は?自然にもある?成分は?

ガラスってなに?|成分と種類

 

 一般的なガラスの主成分は「二酸化ケイ素(SiO2)」です。

 

二酸化ケイ素(SiO2)を高温で加熱すると、”ぐにゃぐにゃ”になり、

再び冷えるまでの間に形を加工できるようになります

 

こうして形を整えたガラスが、コップやインテリアなどの商品になります。

 

…4行で終わってしまいました。

まとめると簡単ですが、「ガラス」には他の分子にはみられない特異的な特徴がいくつかあります。

 

それは二酸化ケイ素に他の成分を混ぜてやると、

「熱に強い性質(耐熱ガラス)」をもったり「壊れにくい性質(強化ガラス)」をもったりするという特徴です。

 

まずは、何も混ぜないガラスについて説明しましょう。

 

ケイ素と酸素だけの純粋なガラスは、「石英(水晶)」と呼ばれます

遠目で見ると「ダイヤモンド」と見間違うこともあるほどの透明度を誇ります。

 

この「水晶」を高温で溶かして、原子を不規則に並べたものが「石英ガラス」といわれる半導体を作る際に必須の素材です。

有名なところでは、光ファイバーや光学用レンズに使われていますね。

 

では、この純粋な「二酸化ケイ素」にナトリウムやカルシウムなどの不純物を混ぜるとどうなるでしょう?

 

ケイ素と酸素の網目構造に亀裂が入ることで、溶ける温度が下がります。

 

つまり、加工しやすくなるため、大量生産される工業用のガラスは主にこちらになります

 

具体的には、① 「珪砂(けいしゃ)」という二酸化ケイ素を含む砂と、② ナトリウムを含む「ソーダ灰」、

③ カルシウムを含む「石灰」という自然の原料を混ぜて作っています。

 

「ガラス」の作り方と聞くと難しいことをやっているようなイメージがありますが、

ただ自然界にあるものを混ぜて加熱しただけに過ぎません

 

他にも、「酸化ホウ素」を加えるとビーカーなどの「耐熱ガラス」に、

「酸化鉛」を加えると宝飾品の「クリスタルガラス」になります。

 

組成の違いが原子配列の変化をもたらせて、いろいろな特徴をもつようになるのですね。

 

続いては、「ガラスが割れやすい理由」についてご紹介します。

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ガラスが割れやすい理由

 

「食器を落として割れてしまった…」という経験は多くの方がお持ちだと思いますが、

「割れやすい理由」さえわかれば「割れにくいガラス」を作る手がかりになり、今後はガラスを落とし放題です。

 

 ガラスが割れやすい理由は、表面に小さな亀裂(傷)が多数あるためです。

その傷に強い力が加わることで、圧力に耐えられなくなって割れています。

 

この傷は、加熱した後にゆっくりと冷やしていることが大きな原因の1つなので、

急速に冷やすことで「割れにくく」できます

 

いくつか方法はありますが、単純に空気を吹き付けて冷やすだけでも効果抜群です。

 

この急速冷却の過程を挟むだけで「強化ガラス」と呼ばれる自動車のドアなどに使われているガラスとなります

 

他にも樹脂シートでコーティングしたり、プラスチックなどを混ぜる方法も存在します。

「防弾ガラス」などはこちら側ですね。

 

最後に、「自然が生み出すガラス」について紹介します。

 

始めに「ガラスの材料は自然由来」と説明しましたが、

自然界にあるということは、そこに熱が加わればガラスができるということです。

 

たまにテレビでも特集されている「エセ超常現象」を解説いたします。

 

自然が生み出すガラス|天然ガラス

 

 天然の自然ガラスは、「珪砂」に熱源となる「雷」が注ぐことで生じます

 

珪砂の溶ける温度(融点)は、組成によって異なりますが、

1,800℃程度なので、これ以上の熱が一時的にでも加われば溶解します。

 

ただし、雷の場合には伝導性を高めるための水分(湿った環境)が必要条件に加わります。

 

この「天然ガラス」は日本ではあまり有名ではありませんが、

英語圏では Flugrite(フルグライト)と呼ばれ知っている方が多いと思います。

 

ちなみにお土産屋さんで10ドル程度で売っているものは人工的なフルグライトなのでご注意ください。

多くの場合は、雷の形状にそったまま固まり、ガラスというよりは岩に似た見た目になります。

閃雷岩

上の写真は「whatAearth」というサイトからの抜粋です。

英語のサイトですが、地質学の有益な記事が多数掲載されているので、興味のある方はご参照ください。

 

以上、『ガラスの雑学ー割れやすい理由は?自然にもある?成分は?』でした!

今回は雑学シリーズなので、深追いはせずにこの程度で終わらせておきますね。

 

明日は「ペットボトルの雑学」をご紹介する予定です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>

 

「ガラスの雑学|ガラスってなに?ガラスが割れやすい理由は?」まとめ

ガラスってなに?ー成分と種類

・ ガラスの主成分は二酸化ケイ素(SiO2

・ 石英(水晶) ⇒ ケイ素と酸素だけの純粋なガラス

・ 石英ガラス  ⇒ 水晶を高温で溶かし、原子を不規則に並べたもの(光ファイバーや光学用レンズに使用)

・ 工業用ガラス ⇒ 二酸化ケイ素(珪砂)+ ナトリウム(ソーダ灰) + カルシウム(石灰)。不純物を混ぜ融点を下げている

・ 耐熱ガラス  ⇒ 二酸化ケイ素 + 酸化ホウ素

・ クリスタルガラス ⇒ 二酸化ケイ素 + 酸化鉛

ガラスが割れやすい理由

・ ガラスが割れやすい理由は表面に小さな亀裂(傷)が多数あるため

・ 急速に冷やすことで割れにくくできる(強化ガラス)

・ その他にも、樹脂シートのコーティング法、プラスチック等の混合法がある(防弾ガラス)

自然が生み出すガラス(天然ガラス)

・ 天然のガラスは、珪砂 + 雷 + 湿った環境 で生じる

・  Flugrite(フルグライト)と呼ばれ、雷が多発する地帯でまれにみられる

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