科学の雑学Q&A

電子レンジの仕組み・原理|なぜ温まる?加熱ムラの原因は?

投稿日:2016年4月3日 更新日:

 

雑学シリーズ第4弾です。

今回は生活必需品の1つである「電子レンジ」を特集します。

 

外から見ると、「ヴィーーン」という音とともにただ回っているだけのように見えますが、

いったいどのような原理・仕組みで加熱されているのでしょうか?

また、「表面は熱いのに中は冷えたまま」という加熱のムラは何が原因なのでしょうか?

 

今回は『電子レンジの仕組み・原理ーなぜ温まる?加熱ムラの原因は?』として

1、電子レンジでものが温まる理由

2、加熱ムラの原因

3、猫を電子レンジに入れた話

の3本立てでお送りいたします。

Microwave Oven-Mechanism-warm

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電子レンジの仕組み・原理/なぜ温まる?加熱ムラの原因は?

「電子レンジ仕組み・原理」ーなぜものが温まる?

 

 電子レンジがものを温める仕組み・原理は、

「マイクロ波という波が水分子を高速回転させて、摩擦熱を発生させるから」です。

「マイクロ波」と聞いても馴染みがないかもしれませんが、携帯電話などの電波にも使われる身近な電波です。

実は、電子レンジがものを温める原理自体は、太陽で体が温まったり、赤外線ストーブに熱を感じることと一緒です。

あくまで「原理」ですが。

 

それでは、もっと具体的に説明していきましょう。

「水分子を高速回転」と述べましたが、電気的に水分子(H2O)は中性です。

しかし、原子レベルでは酸素原子側(O)がマイナス、水素原子側(H)はプラスの電気と偏っています(分極)

ここに「マイクロ波」という電気を動かすことのできる波(電磁波)を流してやります。

すると、水の細部はプラスとマイナスの電気に偏っているので、ものすごい勢いで回転します。

1秒間におよそ24億回転という振動すると考えられています。

電子レンジ

 

そんな超高速の水分子が周りの分子とぶつかることで「摩擦熱」が生じ、この熱が「ものを温める」原因になります

よって、水を程度に含んでいないと、電子レンジに入れても十分に温まらない可能性があります。

その一方で、水の熱容量は大きいので、浸しすぎても過熱に時間がかかります

冷凍食品では水をパッパッとかける程度、

冷凍のご飯は一度水を含ませてから水気を切る感覚で下処理すると加熱時間自体は短くなります。

ただ、私は料理の専門家ではないので、味がどうなるかは保証できません。

栄養学的には特に問題ありませんが…。

 

続いては「電子レンジの加熱のムラ」です。

ムラの原因と対策についてご紹介します。

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電子レンジの加熱ムラ 3つの原因と対策

 

電子レンジの仕組みを理解していただければ、電子レンジの加熱ムラの原因は簡単です。

理由はただ1つ、「マイクロ波が行き届きにくい場所があるから」です。

普段使う場合では、以下の3つのケースが考えらます。

 

<strong>電子レンジの加熱ムラ、3つの原因</strong>

1、四角い容器を使っている

2、塩分やミネラルが多い

3、水分量が少なすぎる

 

1の「四角い容器」については、端っこの出っ張った箇所にマイクロ波が集中するので、

「角だけ温まりやすくて中は冷えたまま」という状態になります。

 

よって、円形やお皿に移し替えてラップをするなど、凹凸をできるだけ少なくしてあげてください。

 

2の「塩分、ミネラル」については、それらがマイクロ波を吸収するためにムラが生じます

 

カレーなど攪拌(かくはん)出来る食材ならば、事前によく混ぜることである程度の対処はできますが、

ハムやベーコンなどは…諦めて長時間加熱しましょう。

カピカピになりますが、それを避けたいならフライパンを使うしかありません。

 

3の「水分過少」については、水分を事前に含ませてあげましょう

 

電子レンジに入れる食材で水分が少ないものが思いつかないのですが…チョコレートなどでしょうか。

ムラができないように長時間加熱すれば問題ありません。

あまり適切な「対処法」になっていない気がしますが、少しでも参考にしていただければ幸いです。

最後に「電子レンジの裁判訴訟」のお話をします。

タイトルはショッキングですが、本当の話ではないのでご安心ください。

 

猫を電子レンジに入れた話

 

猫の電子レンジ裁判を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?

『 ”濡れた猫を乾かそうと電子レンジに入れたら死んでしまった。

取扱説明書に”動物を入れるな”という文言が含まれていなかったのが原因だ”

という訴訟がアメリカであり、電子レンジメーカーが敗訴して多額の賠償金を払った。』

という内容です。

私は小学生の頃に担任から聴いた記憶がありますが、この話は事実ではないと考えられています。

アメリカならあってもおかしくなさそうですが、事実でなくて安心です。

しかし、この話は嘘でも、類似の事故・事件は多数報告されています。

今回ご説明した電子レンジの原理を考えれば、

動物の他にも卵などの外殻があるもの、沸点の低い液体、マイクロ波をはじくもの(金属など)は使用してはいけません

少しでも不安に感じる場合には、

食材だけを取り出して、「電子レンジOK」と書かれている器に、ラップをかけてチンすればまず問題ないと考えられます。

便利な家電だからこそ、十分に注意して安全に使いたいですよね。

 

以上、「電子レンジの仕組み・原理ーなぜ温まる?加熱ムラの原因は?」でした!

最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>

 

「電子レンジの仕組み・原理ーなぜ温まる?加熱ムラの原因は?」まとめ

電子レンジの仕組み・原理ーものが温まる理由

・ 加熱の仕組み・原理は、マイクロ波が水分子を高速回転させて、摩擦熱を発生させるから

・ 電気的に水分子(H2O)は中性だが、酸素原子側(O)がマイナス、水素原子側(H)はプラスの電気をもつ

・ ここに電磁波(マイクロ波)を流すと、水分子が高速回転し、周りの分子とぶつかることで摩擦熱が生じる

・ よって、摩擦熱が加熱の原因となる

加熱ムラの原因と対策

・ 原因は、マイクロ波が行き届きにくい場所があるから

1、四角い容器を使っている

⇒ お皿に移し替えてラップをするなど、凹凸をできるだけ少なくする

2、塩分やミネラルが多い

⇒ 事前によく混ぜる、あるいは長時間加熱する

3、水分量が少なすぎる

⇒ 水分を事前に含ませる

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