まな板や靴下に「抗菌」と表記されているのを皆さんご覧になったことがあると思います。
「菌に抗う(あらがう)」と書く通り、菌の増殖を抑える効果があります。
今回は『抗菌の雑学|なぜ菌が繁殖できない?カビに効果は?』として
1、【抗菌】の仕組み
2、【抗菌】はカビに効果があるのか
2点をご紹介します。
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抗菌|なぜ菌が繁殖できない?カビに効果は?
抗菌の仕組み|なぜ菌が繁殖しない?
抗菌作用をもつ成分や製品は多数存在するのですが、最も使われているのは安全性の高い「銀」だと考えられます。
銀の場合、抗菌剤の表面から極めて微量ですが銀イオンが溶け出しています。
よく抗菌をうたった商品に書いてある「Ag+」というのが銀イオンです。
この銀イオンが細菌の表面(細胞膜)や体内のタンパク質(酵素)の構造を変化させ、細菌の機能を停止させます。
その結果、細菌自体が死ぬことはあまりありませんが、増殖(細胞分裂)できなくする効果があります。
銀のほかにも無機系の抗菌剤として、銅や亜鉛といった重金属も使われています。
有機系では、アルコールやフェノール類が有名ですね。
補足ですが、ほとんどの「抗菌商品」(特に食器など)は表面についた細菌だけにしか効果はありません。
正確には、周りの細菌を殺しすぎないように作用を制限しています。
そのため、いくら抗菌の容器であろうと器に接していない細菌には効果がないため、細菌の増殖や食品の腐敗などは防ぐことができません。
同様に、靴下などの下着でも菌の繁殖を抑えることはできますが、菌は増えていく一方なので「洗濯しなくて大丈夫」というわけではありません。
続いては一応「菌」である「カビ」に抗菌効果があるのか説明いたします。
わざわざ説明するほどなので、もちろん効果はないのですが…。
カビにも効果がある?
「抗菌」の「菌」が示す対象は「細菌」です。
一方で、カビは細菌ではなく「菌類」に属するので基本的に効果はありません。
名前のせいで紛らわしいですが、大腸菌などの「細菌」とカビやキノコなどの「菌類」は構造が大きく異なるので、微量な重金属や化学物質では増殖を抑えられません。
そのため、カビの繁殖も抑えたいのならば「抗菌防カビ」という商品を購入してください。
ただし、カビが生えるほど放置するような場合には、接触面以外にいる細菌たちが爆発的に繁殖することはご承知ください。
「抗菌/なぜ菌が繁殖できない?カビに効果は?」まとめ
抗菌の仕組みーなぜ菌が繁殖しない?
・ 抗菌には、細菌の増殖を抑える効果があるが、基本的に細菌を殺すことはない
・ 抗菌剤の銀の場合には、抗菌剤の表面から極めて微量ですが銀イオン(Ag+)が溶け出している
・ 銀イオンが細菌の表面(細胞膜)や体内のタンパク質(酵素)の構造を変化させ、細菌の機能を停止させることで増殖を抑える
・ 基本的に、抗菌効果は表面についた細菌だけにしか効果はない
・ そのため、容器内の細菌の増殖や食品の腐敗などは防ぐことができない
・ 靴下などの下着も洗わなければ細菌は繁殖する
カビにも効果がある?
・ 基本的に効果はない
・ 抗菌の対象は「細菌」であり、カビはキノコなどの「菌類」に属する
・ カビの繁殖も抑えたいのならば「抗菌防カビ」という表記が必要