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オプジーボとは?|ノーベル医学・生理学賞受賞の内容を世界一わかりやすく!

投稿日:2018年10月1日 更新日:

 

今回は『オプジーボ/ノーベル医学・生理学賞』として、

1、オプジーボとは?/どんな薬?

2、ガンにどう作用する?

3、今後の展望は?/ガンを治せる?

の3つを中心に、【中学生にもわかる表現】でとにかく ”わかりやすく・簡単に” まとめていきます。

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オプジーボとは?|ノーベル医学・生理学賞受賞の内容を世界一わかりやすく!

オプジーボとは?/どんな薬?/ガンにどう作用する?

 

まずは「オプジーボとは?/どんな薬?/ガンにどう作用する?」から!

Opdivo

 

オプジーボとは

ガン を治す薬(治療薬)の1つ

体を守ってくれる細胞(免疫細胞)」に「ガン細胞」をきちんと攻撃させる

効果があります(なお「オプジーボ」は商品の名前で、一般名は「ニボルマブ」)。

(画像は https://www.opdivo.jp より転載)

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これまで、ガン細胞は

「PD-1(ピーディーワン;Programmed cell death 1)」という免疫細胞の表面にある物質(リガンド)がブレーキの役割

をしていたため

免疫細胞に攻撃されなかった(殺されなかった)

ので

 ガン細胞が死なない

⇒ ガン細胞がどんどん増えていく

⇒ ほかの細胞を圧迫して悪影響を与える(機能不全をもたらす)

⇒ 体がおかしくなっていく

という流れで

ガン細胞が増えすぎることでヒトが死んでしまう

という結果につながっていました。

 

しかし、オプジーボという薬を投与することで

PD-1に起因するブレーキをやめさせ(シグナル制御 ⇒ アクセル状態)、一定のガン細胞を殺すことが期待できる

ため、新しい角度から

ガンを根本的に治療する薬として注目

されてきました。

 

つまり、これまでは

体の外部からガン細胞を攻撃(化学療法・放射線療法) ⇒ ガン細胞を殺す

という研究が主流だったのが、オプジーボでは

体内部の免疫細胞がきちんと働くように工夫する(ガン細胞を敵として認識させる) ⇒ ガン細胞を殺す

という新たな発想になったわけです。

 

2018年10月には

京都大名誉教授・本庶佑(ほんじょ たすく)さんらが、日本人で5人目となる「ノーベル医学・生理学賞」を受賞

されたことで一躍有名になりました。

 

※ なお、残りの4名は ↓

受賞年 代表者 内容
1987年 利根川進(とねがわ すすむ) 抗体生成に関する遺伝解析
2012年 山中伸弥(やまなか しんや) iPS細胞(多能性幹細胞 ≠ ES細胞
2012年 大村智(おおむら さとし) 線虫寄生に起因する感染症の治療
2016年 大隅良典(おおすみ よしのり) オートファジー

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おそらく、多くの人はノーベル賞のニュースで「オプジーボ」を知ったことと思いますが、PD-1に関する研究自体は歴史が古く、

 1992年 PD-1関連遺伝子の同定(これがPD-1だ!とはっきり分かった)

引用:Ishida Y, Agata Y, Shibahara K, et al. Induced expression of PD-1, a novel member of the immunoglobulin gene superfamily, upon programmed cell death. EMBO J 1992;11: 3887–3895.

 1998年 機能の判明(なんか免疫細胞にブレーキかけてるっぽいぞ!? = PD-1があるとなかなか敵を攻撃しないなー。。。)

引用:Eszter L, Bing C, Kari A, et al. Programmed death-1 (PD-1)–deficient mice are extraordinarily sensitive to tuberculosis. Proc Natl Acad Sci U S A. 2010: 13402–13407.

 2000年代 京都大学を中心に、PD-1の制御機構を研究 ⇒ PD-1を抑制することでガン細胞を敵と認識させ、適切に攻撃させる抗体療法の究明

引用:Hino R, Kabashima K, Kato Y, et al. Tumor cell expression of programmed cell death-1 ligand 1 is a prognostic factor for malignant melanoma

 2014年 PD-1の抑制剤(=ガン細胞をやっつけるよう促す薬)であるオプジーボが販売

という感じで、実質20年以上研究されてきた分野です(論文が気になる人はぜひ読んでみてください)。

 

ここまでの話を簡単にまとめておきます。

オプジーボとは?|ノーベル医学・生理学賞受賞の内容

 オプジーボとは? ⇒ ガンを治す薬!

 どうやってガンを治す? ⇒ 免疫細胞に「ガン細胞は敵だぞー!」と正しく認識させる!

 仕組みは? ⇒ PD-1のブレーキ(攻撃しない反応)を抑制し、ガン細胞への攻撃を促す!

 

以上、かなりざっくりとですが「オプジーボとは?/どんな薬?/ガンにどう作用する?」についてまとめました。

できる限りわかりやすく説明したつもりですが、かみ砕きすぎて語弊を招く表現になっている可能性もあるので週末に再度チェックしておきます<(_ _)>

 

では続いて、もっと身近な話として「オプジーボによってガンは完全に治るのかどうか?」についてまとめます。

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オプジーボの今後は?/ガンを治せる?

 

ここからは「オプジーボの今後は?/ガンを治せる?」です。

 

まず

 ガンを完全に治せるかどうか?

についてですが

一定の治療効果(ガンを縮小させる効果)は期待できる

一方で

現時点(2023年6月時点)では ”完全な治療法” にはなりえない

と考えられます。

 

具体的には

ガンの増殖スピードにはかなりの個人差があるうえ、初期の段階(ガン細胞が増えすぎていない状態)であれば免疫機構のみに由来するガン細胞の根絶に将来的には期待できる

反面、体中にガン細胞が広がれば(転移すれば)

「免疫によって殺せる(縮小させられる)ガン細胞」 < 「増殖するガン細胞」

になる可能性が高いでしょう。

 

現実的にガンを根治させるには、SF小説のような話に感じるかもしれませんが、

ガン細胞のある部位すべてを移植する

しかないように考えられます。

 

だからこそ、2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞した「iPS細胞」が今なお最も注目されているわけです(iPS細胞では当人の細胞を初期化させ、任意の組織を形成可能;残念ながら日本の臨床試験は大きく後れを取っています…;詳しくは 『iPS細胞を世界一わかりやすく!』ーiPS細胞って?作り方は?幹細胞? を参照)。

 

しかし、私たち一般市民が「ガンによる死を遅延させる」という目的においてはオプジーボが非常に魅力的なのは確かです。

 

2014年にオプジーボが発売されたときは「73万9,849円/100mg」という法外な価格(1年間使うと3,500万円にもなりました…笑)でとても手が出せませんでしたが、

2018年時点で「27万8029円/100mg(1年使用で1,300万円ほど)」まで安くなり、なんとか治療を検討できる金額になっています。

 

オプジーボの使用法はいたってシンプルで

化学療法をまだしていない人なら「1回 3mg/kg」を2週間おきに点滴

するだけです(正しい使用法は医療機関で必ず確認してください)。

 

ただ

いつまで治療を続ければ効果が出るのかは、ガンの進行具合&個人差があり不明瞭

なのが現実です。

 

一般にオプジーボのような免疫チェックポイント阻害薬においては

作用が確認できるまでに2~3ヵ月かかる

ため、やはり少なくとも1年以上の治療はみておくべきでしょう。

 

また、オプジーボの副作用として

 FT3・FT4(甲状腺ホルモン)の減少

 ALP(アルカリフォスファターゼ)の増加

が報告されており

 甲状腺機能障害

 間質性肺炎

 肝機能障害・肝炎

 大腸炎・下痢

 劇症 1 型糖尿病

 皮膚障害

といった種々の臓器障害をもたらす可能性があります

 

オプジーボの効果に関しては、論文によって評価が大きく分かれていますが、共通して個体差が大きい(患者によって効果がわかれる)ようです。

 

オプジーボはガン治療法として期待が高まっている一方で、無責任な表現になってしまいますが「どの程度効果があるかは患者による」ため、実際に利用する際には医師の方とよく相談し、またインフォームドコンセントを徹底するようにしてください。

 

以上、個人的見解が多くなってしまいましたが「オプジーボの今後は?/ガンを治せる?」について簡単にまとめました。

なお、私の専門は遺伝学・統計学であり、生理学にはさほど詳しくないので情報をすべて鵜呑みにしないようにはしてください(主要な論文は一通り読んでいるので大丈夫だとは思いますが…)。

それでは、また次回ノシ

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