今回は『メンデル遺伝の法則』として、
論理的な遺伝学の幕開けとなった「メンデルの法則」について説明していきます。
「メンデルの法則」とは、遺伝現象を説明する基本的な法則のことで
1、優性
2、分離
3、独立
という3つの法則からなります。
特に「分離の法則」は、現代にも通じる「遺伝の根本原理」を述べています。
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メンデル遺伝の法則|血液型の具体例と優性・分離・独立の法則
メンデル遺伝の法則:「1、優性の法則」と血液型
メンデルの優性の法則とは
「一対の対立遺伝子が、特定の対立形質を支配していて、それらの遺伝子には優性、劣勢の関係がある」という法則のこと
です。
つまり
両親のどちらかが遺伝性の強い特徴(=形質)を持っていれば、子にその特徴が受け継がれる
ということです。
メンデルは、エンドウ豆の花の色(紫色が優勢、白色が劣勢)や豆の形(まるが優勢、しわが劣勢)など、計7つの形質に注目して実験を行いました。
身近な「優性の法則」のケースとして、血液型を例にとってみましょう。
私たちになじみ深い「ABO式血液型」を例にとると
血液型 ⇒ A型、B型、AB型、O型の4種:4つの対立形質
遺伝子 ⇒ A遺伝子、B遺伝子、O遺伝子の3種:3つの対立遺伝子
遺伝の強さ ⇒ A遺伝子=B遺伝子>O遺伝子:AとBは同じ強さ(ともに優性)で、Oは弱い(劣勢)
という性質があります。
よって
両親からA遺伝子とO遺伝子をもらう ⇒ 子供はA型(A遺伝子>O遺伝子)
両親からB遺伝子とO遺伝子をもらう ⇒ 子供はB型(B遺伝子>O遺伝子)
両親からA遺伝子とB遺伝子をもらう ⇒ 子供はAB型(A遺伝子=B遺伝子)
両親からO遺伝子とO遺伝子をもらう ⇒ 子供はO型(O遺伝子のみ)
となります。
ただし、両親がともにA型だからといって、子供が必ずA型になるとは限りません。
それは、ヒトが二倍体生物(染色体が2本で1セット)だからです。
すなわち、対立遺伝子も2つもっているので、両親がA遺伝子とO遺伝子を持っており、
かつ、両親からそれぞれO遺伝子を子供が受け継いだ場合、両親は確かにA型ですが子供はO型になります。
そのため、血液型から「自分は本当にこの両親の子供なのだろうか」という疑念を拭い去ることは難しそうです。
両親がO型なのに自分がA型…などの場合には要注意ではありますが。。。
一応の補足として、血液型の違いは赤血球表面の糖鎖の結合形質に起因しているため、例外はごくまれにあるということを述べておきます。
加えて、遺伝性の強さがA遺伝子=B遺伝子であるため、優劣のつかない場合もある(共優性)、
つまり「優性の法則」が当てはまらないケースの例でもあります。
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メンデル遺伝の法則:「2、分離の法則」
メンデルの分離の法則とは
「対立遺伝子は、生殖細胞(卵子や精子)が形成されるときに分離され、一方の遺伝子のみが1つの生殖細胞に含まれる」という法則
のことです。
つまり、「子供がもらう遺伝子は、母親から1つ、父親から1つで均等」ということです。
子供が母親似、父親似という表現をしばしば耳にしますが、遺伝子的には平等に受け継いでいるわけですね。
こういった表現は、「① 優性の法則」により、目の色や鼻の形といった目立つ顔パーツが、
両親のどちらか一方に酷似したためだと考えられます。
この「分離の法則」は、メンデルの3法則の中で最も重要で、今現代でも当てはまる「遺伝の根本原理」を述べています。
メンデル遺伝の法則:「3、独立の法則」
独立の法則とは
異なる対立遺伝子同士に関連性はなく、それぞれ独立して生殖細胞へと分配される」という法則
のことです。
つまり、「別の種類の遺伝子は、他の遺伝子に影響しない」ということです。
両親が金髪だからと言って、目の色まで金色にはならないということです。
ただし、別の種類の遺伝子でも、対立遺伝子同士が同じ染色体上にある場合には当てはまりません。
以上の3つが「メンデルの法則」といわれる遺伝の法則です。
いずれも偉大な発見だったのですが、なぜ他の研究者ではたどり着けなかった解に、メンデルだけが到達できたのでしょうか。
以上、『メンデル遺伝の法則ー血液型の具体例と優性・分離・独立の法則まとめ』でした!
次の章では、メンデルが前人未踏の法則を導いた秘訣について解説していきます。
⇒ 次章『メンデル成功の秘訣ーメンデルがエンドウ豆を選んだ理由』へ
『メンデル遺伝の法則』まとめ
メンデルの3法則
1、優性の法則:遺伝しやすい特徴が優先して子に遺伝する法則
・ ABO式血液型ではメンデルの優性の法則がみてとれる
2、分離の法則:半数の遺伝子のみが生殖細胞に含まれ遺伝する法則
3、独立の法則:遺伝子同士が関連することなく遺伝する法則