遺伝学

エピジェネティクスとは?|簡単に・わかりやすく【5分】で解説!

投稿日:2018年9月19日 更新日:

 

今回は『遺伝の基本』として

1、エピジェネティクス・エピジェネティックとは?

2、具体例は?

の2つを中心に、とにかく ”簡単に・わかりやすく” まとめていきます。

Epigenetics

エピジェネティクスとは?|簡単に・わかりやすく!

エピジェネティクス・エピジェネティックとは?

 

エピジェネティック」とは

DNA情報(塩基配列)が変わっていないのに、遺伝子の働きが変わること

で、「エピジェネティクス」とは

エピジェネティックな現象を研究する分野

のことを示します。

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「エピジェネティック」をわかりやすい例で説明すると

双子(一卵性双生児)のDNAはすべて一緒のはずなのに、成長したら体毛も肌の色もなぜか違ってる…しかも体毛はその子供にまで遺伝している

というように

DNAの塩基配列によらない形質変化が「エピジェネティック」

だとざっくり理解して大丈夫です。

 

では

 なぜDNA情報を無視した変化が生じる?

のでしょうか。

 

本来

生物の形質(表現型)はDNA情報(塩基配列によるアミノ酸構造)に支配されている

のですが

DNAは「ヒストン」というタンパク質に取り巻かれ

ていて、さらに

DNA+ヒストンが集合 ⇒ クロマチン

クロマチンが集合 ⇒ 染色体

となっています。

 

このとき、原因はさまざまですが

DNAを集合体である ”クロマチン” に何らかの ”化学的変化” が生じると、DNAは同じなのに形質が変化する

ことがあり、しかも

子供にまで遺伝する場合がある

というからまぁ不思議!

 

では、一体

 どんな原因でエピジェネティックがもたらされる?

のでしょうか。

 

実際の具体例をみていきましょう!

 

エピジェネティックの具体例

 

ここからは『エピジェネティックの具体例』です。

 

エピジェネティックの代表例は次の通り!(わかりやすいものを抜粋)

エピジェネティックの例

1、X染色体不活性化

哺乳類の場合では、性染色体(:オスかメスかを決める染色体)は「オスがX?、メスがXX」となっていますが、実際には「Xは1つあれば十分」です。

メスは ”X” が2つあるので、1つは不活性化(遺伝子発現を抑制)します。

この不活性化はランダムに起こるので、2つの ”X” のうちどちらが選ばれるかは運しだい!(DNAの塩基配列は関係ない=エピジェネティック

例えば、Xの一方が正常で、もう一方が異常だった場合、「DNA情報は同じなのに形質が違う…」というエピジェネティックな現象が生じることになります。

遺伝学を専攻している人向けにもうちょっと詳しく説明すると、不活性化はマスタースイッチ遺伝子から非コードRNAが合成され、その転写がクロマチンを変化 ⇒ ヒストン修飾 ⇒ DNAメチル化という流れで染色体自体を変容させ遺伝していくわけです。

2、ゲノムインプリンティング

哺乳類の場合では、遺伝子は父親・母親から1つずつもらっています(2倍体)が、たいていはどちらか一方だけが使われています。

しかし、なかには父親の遺伝子だけが発現する場所・母親の遺伝子だけが発現する場所が存在します(インプリント遺伝子;DNAメチル化に起因)。

DNA情報の見た目(塩基配列)自体はまったく同じでも、父親・母親どっちに由来するかで形質が変わるため、父親由来なら異常なのに母親由来なら正常…といった塩基配列によらないエピジェネティックな現象が生じます。

3、位置効果

突然変異が異常な染色体で生じると、周りの遺伝子まで不活性化にする現象が存在します。

例えば、遺伝子が一度切れて逆向きに再結合(逆位;ヘテロクロマチン)すると、その遺伝子だけでなく隣の遺伝子まで異常(不活性化)にし、さらにその隣まで波及していく…といったエピジェネティックな機構がみられます。

どこまで不活性化の影響が及ぶかは運しだいで、同じ塩基配列なのに遺伝子が発現していたりしていなかったり…となります。

4、細胞記憶・遺伝子補償

遺伝子がどれだけ働いているか(≒ 遺伝子発現量)は細胞ごとに違いますが、一部の遺伝子ではあまり発現量に差がでないように制御・補正しています

あまりに遺伝子が機能していなければ発現を促し(活性化)、影響が強すぎれば抑制(低活性化)することで、生物としての安定性を高める機構です。

補償度合いによって形質は変化し、また後天的な影響(環境効果)を受けるため塩基配列によらないエピジェネティックな現象といえます。

 

以上の4つが「エピジェネティックの代表例」であり、大学院生レベルまでなら4つをおさえておけば大丈夫でしょう。

哺乳類に限らず言えばまだまだエピジェネティックは存在し、またメカニズムが判明していないものも多く存在します。

ちょっとエピジェネティクスはとっつきにくいイメージをもたれがちですが、これから遺伝情報と発現情報の統合解析が主流となっていく現環境において専攻する価値は十分あると思います。

これから大学に進学する人で遺伝学に興味のある方はぜひご一考を!

以上、『エピジェネティクスとは?』についてまとめました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>

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