今回は『熱の雑学』として、
という疑問に、”わかりやすく・簡単に” 答えていきます。
氷に塩をかけると温度が下がるのはなぜ?
氷に塩をかけると温度が下がるのはなぜ?
「氷に塩をかけると温度が下がる理由」は、ずばり
【融解熱(ゆうかいねつ)】と【溶解熱(ようかいねつ)】によって周りから【熱を奪う】から
で、
融解熱 ⇒ 【氷】が【水】になるとき【熱を吸収】する性質(周りの空気の熱を奪う → 温度が下がる)
溶解熱 ⇒ 【水】に【塩】が溶けたときに【熱を吸収】する性質(周りの空気の熱を奪う → 温度が下がる)
の2つの要因によって「温度が下がる」のです。
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わかりやすく「氷+塩で温度が下がるメカニズム」をまとめると
【氷】を【冷凍庫】から出す
⇒ 【氷】は少しずつ溶けて【水】になる
※ このとき、「水を氷にするために冷凍庫に入れて【冷やした(水の熱を奪った)】とき」と ”逆” で、「氷が水になるには周り(空気)から熱を奪う(氷が熱を吸収する)」必要がある(← 融解熱)
⇒ 氷が水になるときの【融解熱】で【周りの空気】から熱を奪う(← 空気の温度が下がる)
※ 【水1g】あたりでおよそ【334J(ジュール)】の熱を奪う(ジュール:エネルギーの単位で、1J で100gのものを1m持ち上げるくらいの仕事量;1カロリー ≒ 4.2ジュール)
氷に塩をかける
⇒ 氷が少し溶けてできた【水】と【塩】が混ざる
※ このとき、水に塩が溶けると熱を奪う性質(温度を奪う)がある(← 溶解熱)
⇒ 【溶解熱】によって温度が下がると同時に、氷が水になる温度【融点】が下がる
※ 普通は0℃で氷がすべて水になるのに、-3℃など低い温度でもすべて水になるようになる(← 凝固点降下)
⇒ 氷はより溶けやすくなって、氷 → 水に変化するときの【融解熱】によって熱を吸収する速度も加速
⇒ 水の部分がどんどん増えていき、塩とより混ざるようになり【溶解熱】も加速
⇒ 凝固点降下が進み、【融解熱】がさらに加速
という流れで
わけです。
ただし
凝固点降下は【ー21.2℃】まで
なので、どんなに氷と塩があっても
ことは覚えておいてください(温度が下がりすぎると塩水自体が凍って氷晶が分離します)。
また「溶解熱(水+塩で熱を吸収)が発生する理由」は少し複雑ですが、ざっくりいえば「水に塩が溶ける」とき
塩 ⇒ NaClの結合が切れてNa+とCl+のイオンに分かれる(← NaClの結合を切るためにエネルギーが必要なので、それを周りの空気からもらう = 吸熱反応)
水 ⇒ 水素結合で安定していたのに、塩が入ってきたせいで結合が少し切れ不安定になる(水素結合を切るエネルギーが必要;ただしNa+&Cl+イオンが水和するときは発熱)
という何種類もの反応が合わさった結果
となるため
になるわけです。
以上、『氷に塩をかけると温度が下がるのはなぜ?』について簡単にまとめました。
お読みいただきありがとうございました<(_ _)>
氷に塩をかけると温度が下がる理由 ⇒ 融解熱と溶解熱によって氷が熱を吸収し、周りの空気の温度をどんどん下げていくから