生物界の、特に哺乳類においては一般的に「寿命と動物の体の大きさ・体重は比例する」という傾向があります。
人間は完全に例外なのですが、
例えば野生のゾウの寿命は50-80年程度なのに対して、ネズミの寿命はせいぜい5年が限界です。
今回は『体の大きさ・体重と寿命の関係ーなぜ体の大きい動物ほど長生き?』として、
1、なぜ体の大きさ(体重)が寿命と関係があるのか
2、なにが寿命を決めているのか
について説明したいと思います。
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体の大きさ・体重と寿命の関係/なぜ体の大きい動物ほど長生き?
体の大きさ・体重と寿命の関係|心臓の鼓動(拍動)が寿命を決める?
いくつかの論文で提唱されていますが、
「野生の」哺乳類の場合には「心臓が機能しなくなることが寿命の原因ではないか」と考えられています。
「野生」を強調したのは、動物園では運動不足やストレスから短命になりやすい傾向があるためです。
ご存じのように、心臓というのは血液を循環させるためのポンプです。
心臓は生きている間は休むことなく動き続けるため、やがて老化とともに心臓の働きは弱くなっていき、
心臓が壊れたときに寿命を迎えると考えられます。
「ゾウの時間 ネズミの時間」という本川達夫さんの書籍によれば、
「哺乳類の心臓は一生の間に約20億回拍動する」そうです。
つまり、彼の考えに単純に従えば「心臓が20億回鼓動(拍動)すると、寿命を迎える」と考えられます。
※ もちろん『寿命』に関しては、かつての記事で紹介したように、
「1、心臓以外の細胞の老化(異常の蓄積)」や「2、テロメア」による影響も多分にあります。
ということは、「心臓の鼓動の速さと体の大きさ(体重)」に関係があれば、
「寿命と体の大きさ・体重の関係」についてわかりそうですね。
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体の大きさ・体重と寿命の関係|体が大きいほど心臓はゆっくり動く!
「心臓の鼓動の速さと体の大きさの関係」は極めてシンプルです。
心臓が一回拍動するということは、血液が体を一周するということです。
つまり、体の大きい動物では「血液が体を一周するのに時間がかかる=心臓がゆっくり動く」ということになります。
逆に体の小さいネズミなどでは、送り出した血液がすぐに戻ってくるため、
そのたびごとに心臓が拍動して血液を送り出さなければなりません。
もうわかったかもしれませんが、
・ 体の大きい動物(≒ 体重の重い動物)の方が心臓がゆっくり動く
⇒ 心臓が20億回鼓動するまでに時間がかかる
⇒ 心臓の寿命が訪れるのが遅い
⇒ 長生き
となるのですね。
以上の理論を科学的に証明するには、異種間のビッグデータに対して「体の大きさと寿命の相関」を統計分析するだけなのですが、
ざっくり探した限りでは有効そうな論文を見つけられませんでした。
なかなか複数の野生動物種のサンプルを1,00程度は集めて寿命を計る…というのは困難ですしね。
読者の方でビッグデータの論文を知ってるよという方がおられたら教えていただけるとありがたいです。
最後に参考にさせていただいた本川さんの書籍を一応紹介しておきますね。
参考書籍
「ゾウの時間 ネズミの時間」は「動物の大きさと生物の特徴の関係」をまとめたちょっと変わった趣向の本です。
今回は寿命について紹介しましたが、本の中では移動速度や代謝と体のサイズの関係についても触れていますね。
BOOK OFFでなら100円コーナーにあるかもしれないので、生物好きな方にはお勧めです。
以上、『体の大きさ・体重と寿命の関係ーなぜ体の大きい動物ほど長生き?』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
「体の大きさ・体重と寿命の関係|なぜ体の大きい動物ほど長生き?」まとめ
・ 野生の哺乳類では、一生の間に心臓は20億回程度までしか鼓動できない
・ 体の大きい動物(体重の重い動物)の方が「血液が体を一周するのに時間がかかる=心臓がゆっくり動く」
・ 体の大きい動物の方が心臓の寿命が来るのが遅い ⇒ 長生き