今回は『ブラックホールの雑学』として
1、ブラックホールとは?/ブラックホールになる【条件】は?【質量】?
2、どうやって【誕生】する?
3、【終わり】はある?/【蒸発】?
4、【時間が止まる】?/【時間の流れが遅くなる】?
5、【人工】のブラックホール/ブラックホールを作れる?
の5つを中心に、”詳しく・わかりやすく” お送りします。
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ブラックホールとは?|誕生・終わり/条件・質量/時間がとまる?/人工で作れる?
ブラックホールとは?|ブラックホールになる条件は?質量?
まずは「ブラックホール」と「ブラックホールができるための条件」から説明していきます。
ブラックホールとは
光をも吸い込むほど強い重力をもった天体(特異点)
のことです。
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アインシュタインの相対性理論でも説明しましたが
一般相対性理論 において、重力は空間を曲げます。
「空間の歪み」は
重力が大きければ大きいほど曲がり具合も大きく
なり
より重い物体あるいは速い物体でも引き付ける
ようになります。
つまり
ある一定以上重力が大きくなれば、光すら脱出できないほどの空間の歪み
となり、理論上は
あらゆる物質を吸い込む存在
となるのです。
この
”あらゆる物質を吸い込む存在” こそがブラックホール
で、実際に
”はくちょう座X-1” などブラックホールの候補となる天体が多数発見
されています。
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ただし
重力が大きいという条件だけでは、ブラックホールにはなりえません。
ブラックホールの ”最も重要な条件” は
”狭い領域” に(高密度で)質量が集中すること
です。
いくら重い天体であっても、密度が低ければ空間の歪みは緩やかになりブラックホールにはなりません。
逆に言えば
地球をゴルフボールほど(直径5cm)まで圧縮すればブラックホール
になると考えられています。
こんな特別な天体であるブラックホールですが、一体どうやって誕生するのでしょうか?
次は、ブラックホールの誕生物語について解説します。
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ブラックホールの誕生/ブラックホールはどうやって生まれる?
ここからは「ブラックホールの誕生秘話」として、どうやってブラックホールが誕生するのか説明していきます。
繰り返しになりますが
ブラックホールの条件は「狭い領域に質量が集中する」こと
です。
質量が大きい天体はたくさんありますが、この天体が
何らかの要因でコンパクトにまとまれば、その天体はブラックホール
となりえます。
「何らかの要因」として
最も有力なのは「超新星爆発」
です。
「超新星爆発」は
ある程度質量の大きい天体(太陽の8倍以上)が起こす爆発
で、超新星爆発により
もとの天体の成分はほとんど「中性子」だけ
になります(中性子星)。
「中性子」というのは『化学とは?』の記事でも説明したように、
原子を構成する粒子の1つ
です。
原子の場合、陽子や電子など他の粒子のために空間ができてしまいますが、
中性子だけならば空間はほとんど生じません。
つまり、超新星爆発により
質量は十分に大きいままで、中性子が高密度で密集
するようになります。
この段階で、天体の一部は「狭い領域に質量が集中する」条件を満たし、ブラックホールと呼ばれる天体に変化するのです。
以上がブラックホールが誕生する代表的な例で
ブラックホールが他のブラックホールと合体したり、周りの天体やガスを取り込んだり
することで
より大きなブラックホールへと成長
します。
また、この
「大きなブラックホール」が銀河の中心にある
ことで
銀河という星の集団が離れることなくまとまれている
のではないかとも考えられています。
太陽系でいうところの「太陽」という重力源が、銀河の「ブラックホール」に相当するわけですね。
この辺は『ダークマター』との兼ね合いもありますが、少なくとも私たちの
天の川銀河の中心には巨大なブラックホールがある
と考えられています。
ブラックホール誕生物語について説明したので、次は「ブラックホールの消滅」について説明しましょう。
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ブラックホールの消滅/ブラックホールの終わりはどうなる?蒸発?
ここからは「ブラックホールの消滅」として、ブラックホールがどうやって終わりを迎えるのか説明していきます。
ブラックホールといっても
無限に物質などを吸い込み続けるわけではありません。
ブラックホールは質量が異常に大きいだけの存在なので、
重力(引力)が届く範囲にあるものを吸い尽くしたら、その後は質量が増加することはありません。
では、ブラックホールは無限に存在し続けられるのでしょうか?
ブラックホールの一生について理論的に提唱したのは、2018年にお亡くなりになったスティーブン・ホーキング博士です。
せめて名前だけは覚えておいてほしいのですが、車椅子に乗っている姿を一度はテレビなどでみたことがあるのではないでしょうか?
ホーキング博士は、自身の量子論から
ブラックホールは蒸発する
と提唱しました。
つまり、周囲を吸い尽くしたブラックホールは
蒸発することによって徐々に質量を減らしていき、最後には完全に消失する
と提唱したのです。
「蒸発」といっても、水が蒸発するのとはイメージが異なります。
ここでの「蒸発」とは、素粒子のペアが解消(対消滅)したときに
ペアの一方がブラックホールの重力を振り切って脱出すること
意味しています。
完全に量子論の世界になってしまうため詳しくは述べませんが、簡単に言えば
ブラックホールの周りで、素粒子がくっついたり離れたりするときに、ごくごくたまに素粒子が勢いよく飛び出してしまう
のです。
その
飛び出した素粒子は基本的には戻ってこない
ため
その素粒子分の質量がブラックホールから減る
ことになります。
こうした
「蒸発」を繰り返す
ことで
ブラックホールはその質量をゼロにし消滅する
というわけです。
ブラックホールがある程度小さくなると
ブラックホールの場所ごとに重力差が大きくなる(潮汐力の増大)
ので
蒸発は急激に激しく
なり、最後には
爆発するように蒸発し消滅する
と考えられます。
実際には
蒸発のスピードは極めて緩やか
で、さらに
ブラックホール自体も現在の科学力では明確に識別できる存在ではない
ので、あくまで
理論上の「ブラックホールの終焉・終わり」
であると覚えておいてください。
さて、ブラックホールの一生についてはある程度説明できたので、
次は一般相対性理論から導かれるもう1つのブラックホールの不思議について解説していきましょう。
ブラックホールでは時間が止まる?/時間の流れが遅くなる?
ここからはブラックホールのおもしい点でもある「ブラックホールでは時間が止まる?/時間の流れが遅くなる?」について説明します。
『一般相対性理論』 には 「重力は時間を遅らせる」 という結論
がありましたね。
この原理をブラックホールにも適用してやりましょう。
重力が大きいほど時間は遅れます(≠時間が止まる)。
つまり
ブラックホールでは時間が大幅に遅れ、
光すら飲み込む重力であるため
外から見れば、ブラックホールの表面では時間が完全に止まっているようにみえます。
もしブラックホールに宇宙船が吸い込まれてしまったら
外から見ると宇宙船はブラックホールの前でずっと静止している
ように映ります。
ただし少し専門的になりますが、ブラックホールに近づくにつれて光の波長が長くなるので視認はできなくなります。
では、宇宙船に乗っている人はどうしているのかといえば
通常通りの時間が流れているだけ
です。
つまり
一瞬でブラックホールに吸い込まれてしまう
のですね。
不思議に感じるかもしれませんが、「相対性理論」では
時間は「絶対性」のある存在ではなく「相対性」のある存在
なのです。
最後に、人工的にブラックホールを誕生させようというプロジェクトについて解説します。
「勝手にそんな危険なことをしていたのか」とお怒りかもしれませんが、ブラックホール自体には危険は伴わないためご安心ください。
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人工のブラックホール/ブラックホールを作れる?
ここからは「人工のブラックホール/ブラックホールを作れる?」について説明します。
人工ブラックホールの実験は、スイスの
「LHC:大型ハドロン衝突加速器」という超巨大な加速器(実験施設)
で行われています。
『ダークマターの捕獲計画』でも登場したLHCですが、ダークマターの計画と同じ実験で、ブラックホールも生み出せる可能性があります。
実験内容は
光速に近い速度まで加速させた(亜光速)陽子を正面衝突させる
という原理自体は単純なものですが、この実験により
爆発的なエネルギーを発生させ、そのエネルギーが質量へと高密度に変換されればブラックホール
となりえる可能性があります。
ちなみに
「エネルギーと質量が同じ:E=mc2」という原理は「特殊相対性理論」
でしたね。
これまでの記事内容がだんだんとつながってきました。
ブラックホールを生み出すことに対する安全面を心配されるかもしれませんが
この実験で仮にブラックホールが誕生したとしても、極めて微小・微質量なためすぐに蒸発し消失
します。
そもそもエネルギーの上限は実験により決まっているので、
光速の陽子が衝突できるほどの施設であればまず問題ないと言えるでしょう。
LHCは2015年に改良工事が終わって、
陽子が衝突した時のエネルギーはなんと13兆電子ボルトにまで達しました。
このエネルギーは
ビッグバン後の宇宙のエネルギー状態に匹敵する
と考えられているため
人工ブラックホールの誕生ももう近い将来の話かも
しれませんね。
さて、ブラックホールの話はいったんここで一区切りとします。
宇宙についてはまだまだ説明することはあるのですが、読者の方の反応を見ながら記事の選考を行いたいので、
『物理学・天文学』シリーズはしばらくお休みしようと思います。
高次元の時空(超ひも理論など)、ヒッグス粒子、ニュートリノ…などなど、ご要望が多ければ記事を追加していこうと思います。
以上、『ブラックホールとは?/誕生と終わりは?条件と質量は?時間がとまる?人工で作れる?』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
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「ブラックホールとは?/誕生と終わりは?条件と質量は?時間がとまる?人工で作れる?」まとめ
ブラックホールとは?/ブラックホールになる条件は?質量?
・ ブラックホールとは、光を吸い込むほど強い重力をもった天体(特異点)のこと
・ 一般相対性理論より、質量の極めて大きい天体(ブラックホール)は空間を大きく曲げるため、光すら脱出できない領域を作り出す
・ ただし、”狭い領域” に質量が集中することがブラックホールの必要条件
ブラックホールの誕生秘話ヒストリア/ブラックホールはどうやって生まれる?
・ 超新星爆発によって、天体の成分がほとんど中性子だけになることで生じる
・ 中性子星は、高密度で質量を集中させることができるため、ブラックホールの条件を満たす
ブラックホールの消滅/ブラックホールの終わりはどうなる?蒸発?
・ 重力(引力)が届く範囲にあるものを吸収した後、蒸発(素粒子の離脱)により消滅する
・ 蒸発のスピードは極めて緩やかであり、最後には爆発するように蒸発し消滅すると考えられる
ブラックホールでは時間が止まる?/時間の流れが遅くなる?
・ 一般相対性理論より、重力は時間を遅らせる
・ よって、外から見ると、ブラックホールの表面では時間が完全に止まっているようにみえる
・ ただし、ブラックホールの表面にいる立場からすれば、時間は通常通り流れている(⇒ 時間は相対的)
人工のブラックホール/ブラックホールを作れる?
・ LHCによる亜光速の陽子同士の正面衝突実験でブラックホールが誕生する可能性がある
・ 爆発的なエネルギーを発生させ、そのエネルギーが質量へと高密度に変換される過程が必要
・ 仮にブラックホールが誕生したとしても、極めて微小・微質量なためすぐに蒸発し消失するため安全