今回からはちょっと趣向を変えて、近年発表された最新の論文を紹介していきたいと思います。
まずは「nature medicine」に掲載された「プラシーボ効果の原因;思い込みのメカニズム」に関する論文を簡単に紹介します。
これまでプラシーボ効果(プラセボ効果)の原因は「思い込み」だということまではわかっていましたが、
なぜ ”効果があると思い込む” と実際に病気に効果があるのかは長い間不明でした。
ところが今年、ベン・シャナン博士らのマウス研究によって「脳の報酬中枢」が関与している可能性が示唆されました。
今回は『プラシーボ効果とは?/原因は?思い込みのメカニズムが最新研究で判明!』と題して、
「プラシーボ効果とは?」、「プラシーボ効果の原因は?/思い込みのメカニズムは?」の2つを紹介したいと思います。
プラシーボ効果とは?|原因&思い込みのメカニズム
プラシーボ効果とは?
プラシーボ効果とは
「薬の成分が入っていない偽薬(プラセボ)を 薬だといって患者に与えると、効果がないはずなのに患者の症状が改善する効果」のこと
を言います。
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つまり、薬だと ”思い込む” と本当に効き目がある現象のことですね。
例えば、風邪によく効くといってただの水を飲んでもらった場合でも、風邪の症状が改善するような現象のことです。
プラシーボ効果は、患者が「病気が治る」と思い込むことによって実際に効果を発揮するのですが、
そのメカニズムについては長い間不明なままでした。
そこで、イスラエル工科大学のベン・シャナン博士らはマウスを使った実験を行いました。
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プラシーボ効果の原因は?|思い込みのメカニズムは?
ここからは「プラシーボ効果の原因とメカニズム」について説明していきます。
ベン・シャナン博士らの研究では、
プラシーボ効果に強く関連している可能性があった「報酬中枢」に焦点を当てました。
「報酬中枢」は期待や快楽に深くかかわっており、
研究ではマウスの報酬中枢を薬で活性化させたのち、病原体に感染させました。
まずはマウスの報酬中枢の中でも ”正の感情” に強い影響を及ぼしている箇所を活性化させ、
その後 病原性の大腸菌に感染させ事後経過を調べました。
すると、報酬中枢を活性化させたマウスでは大腸菌の繁殖が抑えられ、
また薬の投与前よりも免疫系が活性化し、大腸菌が減少する結果となりました。
以上の結果から、
「薬で病気が治る」と期待することによって「脳の報酬中枢」が活性化し、
それが免疫力を高め、病気が治るという可能性が示唆されました。
つまり、プラシーボ効果の原因は本当に ”思い込み” にあり、
プラシーボ効果はオカルトではなく科学的なメカニズムに基づく現象であることが示されたわけですね。
2017年時点では、マウスによる研究しか行われていないため今後続報が入り次第記事を追記していきたいと思います<(_ _)>
以上、『プラシーボ効果とは?/原因は?思い込みのメカニズムが最新研究で判明!』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
「プラシーボ効果とは?|原因は?思い込みのメカニズムが最新研究で判明!」まとめ
プラシーボ効果とは?
・ プラシーボ効果とは、思い込みによって病状が改善する現象
・ なぜただの勘違いなのに実際に病気が治るのか、その原因・メカニズムは長い間不明だった
プラシーボ効果の原因は?/思い込みのメカニズムは?
・ マウスの実験によって、脳の報酬中枢が活性化すると免疫系が活性化することがわかった
・ 期待や快楽によって、免疫力が高まることが科学的に示唆された(=プラシーボ効果の原因・メカニズムである可能性)