生物学

細胞の定義と種類|動物・植物の違いと細胞の機能・構造

投稿日:2016年3月9日 更新日:

 

現在確認されている生物は200万種以上ですが、未確認の生物を含めれば1,000万種を超えると推測されています

そして、それら地球上に暮らすあらゆる生物は、「細胞」という基本単位から成り立っています。

例外はない…と考えられています

 

今回は『細胞の定義と種類ー”動物と植物の違い”と”細胞の機能・構造”』として、

「細胞」とは何か、さらにその主要な役割についてわかりやすく説明したいと思います。

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細胞の定義と種類|動物・植物の違いと細胞の機能・構造

細胞の定義と種類

 

細胞」とは

① 膜(細胞膜)で外側を囲まれ、その中に

② 遺伝情報をもつ組織

のことです。

大きさや機能は異なりますが、この2点はあらゆる細胞に共通しています

言い換えれば、あらゆる生物に共通する「生命の定義」の1つです。

 

ヒトの場合、細胞をすべてあわせると60兆個にもなるといわれ、さらにそのうちの3,000~4,000億個が毎日死んでいるという

なんとも想像しがたい規模で生命活動を維持しています。

 

ヒトのように多くの細胞から成り立つ生物を「多細胞生物」といい、遺伝情報が「細胞膜のなかにある膜(=核膜)」によってさらに囲まれています

2重構造にして守りを厳重にしているわけですね。

 

このような核膜をもった細胞を「真核細胞」と呼び、すべての「多細胞生物」は「真核細胞」で構成されています

 

一方、「細菌」のような細胞自体が生命体(細胞が1つだけ)のことを「単細胞生物」と呼び、その細胞を「原核細胞」といいます

「細胞=生物」と考えると不思議ですが、私たちヒトの祖先もこの「原核細胞」からなる「単細胞生物」だったと考えられています。

 

では次に、私たち「多細胞生物」にまとを絞って、細胞にどのような機能が備わっているのかみていきましょう。

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真核細胞の構造と機能|動物と植物で異なる細胞

 

「真核細胞」の大きさや機能はさまざなですが、基本的な構造は多くの細胞で共通しています。

何らかの役割をもった細胞内の構造を「細胞小器官」と呼び、以下に簡単にまとめました。

 

動物と植物で共通している細胞

1、核:遺伝情報(DNA)の保管場所

「核」のなかには遺伝情報がつめこまれていて、この情報を使って私たちの体をつくるもととなるタンパク質を合成しています。

「タンパク質」と聞くと筋肉のことばかり思い浮かべてしまいますが、

「ホルモン」や「酵素」といったほとんどの生命の部品がタンパク質から構成されています。

「遺伝子」や「DNA」について詳しく知りたい方は、『遺伝学』のカテゴリーを参照していただけると幸いです。

 

さて、細胞は細胞膜で囲まれていましたが、「核」もまた「核膜」という膜でおおわれています

そして「核膜孔」という穴を通して他の「細胞小器官」と物質のやりとりを行います

遺伝情報は非常に大切なので、何重もの膜でガードしているわけですね。

動物と植物で膜の構造や遺伝情報などは異なりますが、基本的な核の構造は動物・植物でほとんど差はありません。

 

2、細胞質:核以外の場所

代表的な構造を以下にまとめました。

(ⅰ)小胞体     : 細胞内での物質の輸送に関与

(ⅱ)リボソーム   : 小胞体の表面にあり、タンパク質の合成に関与

(ⅲ)ゴルジ体    : 細胞外への物質の輸送に関与

(ⅳ)ミトコンドリア : 細胞のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)という物質を合成

(ⅴ)リソソーム   : 細胞内でいならくなった物質を分解処理

(ⅵ)ペルオキシソーム: 物質の酸化反応に関与

 

以上の6つは動物と植物で共通しています

細胞

※ 画像はEssential細胞生物学より転載

 

動物だけにある細胞(動物と植物で異なる細胞)

主に動物だけに備わった「細胞小器官」は「中心体」です。

(ⅶ)中心体: 細胞分裂時の染色体の移動に関与

ただし、「中心体」は一部のコケ植物や藻類にもみられるので、必ずしも動物特有というわけではありません

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植物だけにある細胞(動物と植物で異なる細胞)

続いて、植物にだけ備わった「細胞小器官です。

(ⅸ)葉緑体 :光合成をおこない、二酸化酸素と水から酸素と炭水化物を作る

(ⅹ)液胞  :細胞内の物質の分解処理

(ⅺ)細胞壁 :細胞を囲むかたい防護壁

これら3つの構造が備わっているのは、正真正銘「植物」だけです。

ただし、後天的に(生まれてから)葉緑体を獲得する「Elyshia chlorotica(エリシア・クロロティカ)」というウミウシは発見されています。

ウミウシ光合成

画像は『EOL Newsletter Today』より

 

このウミウシは「Vaucheria litorea」という藻類食べた際に、葉緑体を体内に維持しエネルギーを合成しています。

非常に面白い生物ですよね。

ヒトに応用できれば餓死が減りそうですが、葉緑素も同時に取り込むため体が緑色に変色しますw

 

以上、『細胞の定義と種類ー”動物と植物の違い”と”細胞の機能・構造”』でした!

次章では『がん細胞』として、どのようにしてがん細胞は生まれ、なぜがんになるのかを説明したいと思います。

 

 

「細胞の定義と種類ー 動物と植物の違いと細胞の機能・構造」まとめ

1、細胞の定義とその種類

・細胞   : 細胞膜で外側を囲まれ、その中に遺伝情報をもつ組織

・多細胞生物: 複数の細胞から成り立つ生物;核膜でさらに囲まれている(⇒真核細胞)

・単細胞生物: 1つの細胞だけで成り立つ生物(細胞=生命体);その細胞を原核細胞と呼ぶ

2、真核細胞の構造と機能ー「動物と植物で異なる細胞」

・細胞小器官:細胞内の役割をもった器官のこと

(Ⅰ)、核:遺伝情報(DNA)の保管場所

(Ⅱ)、細胞質:核以外の場所

(ⅰ)小胞体     : 細胞内での物質の輸送

(ⅱ)リボソーム   : タンパク質の合成

(ⅲ)ゴルジ体    : 細胞外への物質の輸送

(ⅳ)ミトコンドリア : ATP(エネルギー源)の合成

(ⅴ)リソソーム   : 細胞内の物質の処理

(ⅵ)ペルオキシソーム: 物質の酸化反応

主に動物のみに備わる細胞小器官(一部のコケ植物や藻類にもみられる)

(ⅶ)中心体     : 細胞分裂時の染色体の移動に必要

植物のみに備わる細胞小器官

(ⅸ)葉緑体     : 光合成を行う

(ⅹ)液胞      : 細胞内の物質の処理

(ⅺ)細胞壁     : 細胞を囲むかたい壁

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