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生物学

『生命の誕生』ーRNAワールド仮説?最初の生命はどうやって生まれた?

更新日:

 

前回の章で「生命の定義」について説明しました。

 

今回は『生命の誕生ーRNAワールド仮説?最初の生命はどうやって生まれた?』として、

最初の生命体がどうやって誕生したのか」、

さらに「どういった過程でヒトのような複雑な生命体にまで進化したのか」について解説したいと思います。

 

ともに明確な解がでていない議題ではあるのですが、

前半の「生命の誕生」に関しては最も有力かつ論理的な説を、

後半の「進化の軌跡」に関しては化石に基づく文献から謎をひも解いていきます。

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『生命の誕生』ー 最初の生命はどうやって生まれた?RNAワールド仮説?

生命の起源ー「有機物と無機物の違い」

 

生命の起源(もと)は「有機物」にあります。

 

46億年前に地球が誕生した時には、水素や窒素といった無機物の元素のみが存在していました。

 

まず「生命」が誕生するためには、基本的な無機物から有機物が生成されなければなりません

 

ここで「無機物」と「有機物」の定義を確認しておきましょう。

 

化学的には、有機物は「炭素元素(C)が原子結合の中核となる物質」、無機物は「それ以外」に当たりますが、

生物学的には、有機物は「生命活動に由来する物質」と考えるとわかりやすいです。

 

現代では人工的に「生物由来の有機物」を生成できるため古い考え方ではあるのですが、

前章の「生命の定義」と同じく、化学的な定義では例外が多く存在するので、

有機物を「生物によって生み出される物質」ととらえた方が利便性が高いのですね。

 

今回の説明でも、有機物は生物学的にとらえていきます

 

なにはともあれ、まずは生命の起源となる有機物が必要なわけです。

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生命の始まりー「無機物から有機物へ」

 

では、話をもどして一体どのようにして無機物から有機物が生成されたのでしょうか?

おもしろい実験があります。

 

1953年に当時シカゴ大学の学生だったスタンレー・ミラーは、

太古の地球の大気と似たようなガスをガラス管の中で循環させて、そこに電気放電を繰り返す実験というを行いました(ミラーの実験)

 

すると、無機物のガスからアミノ酸などの生命を構成する有機物が生まれたのです。

 

この実験の「太古の地球の大気と似たようなガス(メタンやアンモニア)」は

「火山から生じたガス(水蒸気や二酸化炭素:炭素元素は含みますが無機物です)」に相当し、

「電気放電」は「当時の極めて激しい落雷や宇宙線」に相当します。

 

つまり、ミラーの実験によって、

無機物に強い刺激が加わることで、生命の基礎であるリン脂質やアミノ酸、糖や塩基、リンなどの有機物が生成される可能性があった

ということが分かりました。

火山

 

 

生命の誕生ー「材料の確立とDNA」

 

「リン脂質」ができれば、外界とを隔てる「膜」という境界線が生まれ、

「アミノ酸」が集まれば、生命の部品となる「タンパク質」が生まれる可能性があります

 

タンパク質があるということは、筋肉だけでなく、酵素やホルモン、抗体などのほとんどの生命の部品はできます。

 

さらに、「糖」、「塩基」、「リン」が集まると、核酸といわれる遺伝情報を担う「DNA」や「RNA」が生まれます

 

「RNA」というのは、主に「DNA」の情報を基にタンパク質を合成する分子です。

 

加えて、「単独で自己複製できる唯一の分子」でもあります。

※ RNAやDNAの詳細は『遺伝学カテゴリー』を参照

 

これで、生命を構成する「材料」が揃いましたね。

 

まとめると、

化学反応がもたらした必然的現象により、無機物から有機物が生まれ、生命の基礎材料が確立された

ということですね。

 

生命を構成する材料が揃ったことにより、

38億年前に「単細胞生物」といわれる1つの細胞から成り立つ生命体が誕生します。

 

「材料が揃ったから生命が生まれた」とは話が飛躍しているとは思いますが、この点に関しては

仮説こそいろいろありますが、実際に実験して再現しなければただの空想に過ぎません。

 

「なぜ生物が意思をもち自らの考えで行動できるのか」、

さらに「代謝に大量に必要なリンをどうやって集約的に獲得したのか」…など謎は未だに残るばかりです。

 

個人的には少なくとも「生物の意思」は「DNA」から派生した理念に過ぎないと考えています。

 

「DNA」の主な役割は、「アミノ酸の作り方を提示する」ことで、そのアミノ酸をベースに脳が形成されていくため、

長い進化を経て、「先天的に思考回路が構築され、後天的な学習により本能とは異なる意思をもつ生物」が誕生したと考えています。

 

この辺の話は長くなりそうなので、私の個人的解釈はまた別にお話ししますね。

 

ちなみに私は「遺伝学」が主な専門で、「脳科学」に関しては有名な論文しか読んでいないのでただの空想かもしれません。

 

 

生命誕生までの流れー「RNAワールド仮説とタンパク質ワールド仮説」

 

最後に、生命誕生までの流れを、現在有力とされている「RNAワールド仮説」に基づいて整理しておきます。

 

・ 化学反応により「無機物」から「有機物」が生成される

⇒ 自己複製可能な「RNA(リボザイム)」が出現する

(⇒ 「RNA」や「アミノ酸」などが集まる)

⇒ 「RNA」の周りに、リン脂質などから外界との境界線となる「膜」が生成される

⇒ 膜内で「RNA」の情報を基に「アミノ酸」が作られる

⇒ 「アミノ酸」が集まり「タンパク質」が合成される

⇒ RNA(リボザイム)の自己複製により、個体らしき存在の情報が維持される

⇒ 一部の「RNA」が、より安定な二本鎖の「DNA」へと変質する

⇒ より個体らしさを獲得するための進化が続く

⇒ 単細胞生物の誕生

 

少し順番が前後する可能性はありますが、概ね上記のような過程をたどったと考えられています。

 

この説は、「RNA」を起点に生命が生まれたと考えているので「RNAワールド仮説」と呼ばれています。

 

ではなぜ「DNA」ではなく、「RNA」などどいう馴染みのない分子が始まりなのでしょうか?

 

現存のほとんどの生物の「遺伝情報」は「DNA」が握っているというのに…。

 

これは「DNA」が単独では自己複製することが不可能だからです。

 

複製には必ず、化学反応の促進剤(酵素)となるタンパク質が必要です。

 

しかし、そのタンパク質を作るには「DNA」の情報が必要です。

 

…?

 

「鶏が先か、卵が先か」のようになってきましたが、論理的に解釈するには、

始めにタンパク質の集合体が膜内に生まれ、それらタンパク質によって自己複製が行われ、

その過程でたまたま遺伝情報を記憶する分子ができた…となります。

 

かなり強引な気が個人的にはするのですが、一昔前まではこちらの考えが主流であり、「タンパク質ワールド仮説」と呼ばれています。

現在でも支持している有名な学者の方はいらっしゃいます。

 

しかし、そのように万能なタンパク質の存在を肯定しなくとも、「リボザイム」というRNAが自己複製可能なことがわかっています。

 

よって、長い歴史の中で「リボザイム」のなかにたまたま生命を作るのに適したアミノ酸情報(遺伝情報)をもつ分子が生まれた

と考える方が可能性が高そうです。

 

そのため、「RNAワールド仮説」が有力とされているのですね。

 

今後、新たな記憶能力を有する分子が発見されれば、この「RNAワールド仮説」も信用性が薄くなるかもしれません。

結局のところ、大昔に起こった出来事は推測するしかないということです。

 

最後に、単細胞生物が生まれてから現在の多種多少な生物が生まれるまでの概要を簡単にまとめます。

 

少し長くなってしまったので端的にいきますね。

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進化の歴史と多様性

 

こちらは化石に基づく解釈なので、これまでの推測よりも信憑性は高いと考えられます。

 

まず、南オーストラリアにあった約36-8億年前の化石から「単細胞生物」が発見されました。

 

そのため、少なくとも36億年より前に「単細胞生物」は誕生した可能性が高いと考えられます。

 

その後、10億年前に複数の細胞によって構成される「多細胞生物」が誕生します。

 

5億年前の「カンブリア紀」の化石からは、極めて多くの生物種が発見されるようになり、

おおよそ5億年前に生物の多様化が一気に加速したと考えられます。

 

そうして現在の1,000万種とも推定される多様性に繋がりました。

 

…少し、簡単に説明しすぎたでしょうか?

 

ご要望があれば、より詳しく解説しますので。

 

以下に簡単にまとめます。

 

46億年前 ⇒ 地球誕生

38億年前 ⇒ 単細胞生物誕生

10億年前 ⇒ 多細胞生物誕生

5億年前  ⇒ 生物の多様化が加速

現在    ⇒ 1,000万種にも及ぶ多様性(推定)

 

以上、『生命の誕生ーRNAワールド仮説?最初の生命はどうやって生まれた?』でした!

 

今回で「生命の誕生」に関する説明はいったん終わりにしようと思います。

 

言葉足らずなところもあったと思うので、時間ができ次第また追記していきますね。

 

次回は『寿命と老化』について説明します。

 

 

「生命の誕生ー 最初の生命はどうやって生まれた?RNAワールド仮説?」まとめ

生命の始まりー「無機物から有機物へ」

無機物に強い外部刺激が加わることで、生命の基礎である有機物が生成された可能性がある

有機物:生命活動に由来する物質または炭素元素(C)が原子結合の中核となる物質

無機物:有機物以外

生命の誕生とRNAワールド仮説

化学反応により「無機物」から「有機物」を生成

⇒ 「RNA(リボザイム)」とそれを囲む膜が出現

⇒ 膜内で「RNA」の情報を基に「アミノ酸」を生成

⇒ 「アミノ酸」が集まり「タンパク質」を合成

⇒ リボザイムの自己複製により、個体らしき存在の情報が維持、進化

⇒ 一部の「RNA」が、より安定な「DNA」へと変質

⇒ 単細胞生物の誕生

※ 「RNAワールド仮説」に基づく

進化の歴史と多様性

46億年前 ⇒ 地球誕生

38億年前 ⇒ 単細胞生物誕生

10億年前 ⇒ 多細胞生物誕生

5億年前  ⇒ 生物の多様化が加速

現在    ⇒ 1,000万種にも及ぶ多様性(推定)

 

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