『世界一わかりやすい相対性理論』シリーズの詳細版です。
これまでの特殊相対性理論の記事で、
「光速に近づくと、1、時間は遅くなり、2、空間は縮み、3、質量(=エネルギー)は増える」という3原理について説明してきました。
今回は「実際にどのくらい時間や空間が変化するのか」を求めてみましょう。
数式を使いますが、中学生レベルの数学の知識があれば問題ありません。
ちょっとした話のタネになると思うので、興味のある方はぜひお読みください!
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時間と空間はどのくらい変化する?(三平方の定理とガンマ係数)|わかりやすい相対性理論Part4
三平方の定理で解く時間と空間の変化(ガンマ係数)|わかりやすい相対性理論Part4
難しい知識は一切ありません。
もうお忘れかもしれませんが、中学校で習った「三平方の定理」さえ理解していれば簡単に求められます。
「三平方の定理」は辺の2乗を足すと、斜面の2乗と一致するという定理ですね。
では、簡潔にわかりやすく説明していきましょう。
「1、光速に近づくと、時間の流れが遅くなる」の記事の宇宙船の例をそのまま使いましょう。
地球から見た場合だけを考えて、
光の速さを「c(シー)」、宇宙船の速さを「v(ブイ)」、地球から見て筒を通過するまでにかかる時間を「γ(ガンマ)」とします。
すると、以下のような三角形を作れます。
筒の長さ(縦の辺)は、1秒で光が通過できる長さなので、1×c。
宇宙船の移動距離(横の辺)は、光が筒を通過するまでの間(=γ)に宇宙船が移動した距離なので、γ ×v。
斜面の長さは、ちょうど光が筒を通過するまでの時間がかかっているので、γ ×c。
これで3角形のすべての辺の長さが出ました。
あとは三平方の定理を当てはめるだけです。
(1×c)2+(γ ×c)2=(γ ×c)2
⇒ γ = 1/√(1-v2/c2)
これが物理界では非常に有名な「ガンマ係数(ローレンツ因子)」です。
どのくらい時間が伸びるかを調べるには、時間に γ (ガンマ係数)をかけてやればよいだけです。
どのくらい空間が縮むを調べるには、長さを γ (ガンマ係数)で割ってあげればよいだけです。
どのくらいエネルギー(≒質量)が増えたかを調べるには、 γ (ガンマ係数)をかけてやります。
(※ エネルギーに関しては、光と運動方向が垂直の場合だけ単純な掛け算で済みます。
角度が変わるとかなり計算式が複雑になるので今回は省略させてください)
なんともあっけないですが、以上の計算で簡単に「変化量」を調べることができます。
ただ、エネルギーに関しては、光との運動方向が垂直からずれてしまうと一気に計算は大変になります。
「E=mc2」の求め方まで一気に書いてしまうつもりだったのですが、前日の記事の疲れが残っているので別の機会にします。
次回は「一般相対性理論」の詳細記事です。
特殊相対性理論では、特殊相対性理論では無視していた「重力」の影響を加味しています。
興味のある方はぜひお読みください。
以上、『時間と空間はどのくらい変化する?(三平方の定理とガンマ係数)-世界一わかりやすい相対性理論Part4』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
「時間と空間はどのくらい変化する?(三平方の定理とガンマ係数)-世界一わかりやすい相対性理論Part4」まとめ
特殊相対性理論で実際にどのくらい時間や空間は変化する?(三平方の定理とガンマ係数)
・ 宇宙船の例で考える
・ 光の速さを c 、宇宙船の速さを v 、地球から見て筒を通過するまでにかかる時間を γ とする
・ すると、縦が 1×c 、横が γ ×v 、斜めが γ ×c の長さとなる三角形を作れる
・ 三平方の定理より、(1×c)2+(γ ×c)2=(γ ×c)2 ⇒ γ = 1/√(1-v2/c2)
・ γ はガンマ係数(ローレンツ因子)と呼ばれ、γ (ガンマ係数)を掛けるだけで時間や空間の変化量を調べることができる(エネルギーは条件付き)