「レアアース」と「レアメタル」は両方とも近年よく耳にするようになった単語ですね。
ともに「レア」という形容詞がつく通り、希少な存在ではあるのですが、
必ずしも存在量(可採埋蔵量)が少ないわけではありません。
長期的には枯渇する心配もないため、レアメタルがなくなるかもと心配するくらいならば、
銅や亜鉛などを心配する方がはるかに先決です。
今回は『レアアース・レアメタルとは?|違いと最強磁石のマグネット(ネオジム磁石)』として、
「レアアースとは?」、「レアメタルとは?」、「レアアースとレアメタルの違い」の3つを紹介します。
スポンサーリンク
レアアース・レアメタルとは?|違い・最強磁石のマグネット(ネオジム磁石)
レアアースと最強磁石のマグネット(ネオジム磁石)
「レアアース(希土類)」は、周期表の左から3番目(3族)に位置する元素です。
具体的には
原子番号21 スカンジウム(Sc)
原子番号39 イットリウム(Y)
原子番号57 ランタン(La) ~ 原子番号71 ルテチウム(Lu)
までがレアアースです。
このグループの大きな特徴として、酸素と結合しやすい、磁石になりやすいといった性質が挙げられます。
レアアースは車やテレビなどにほとんど必要不可欠な存在となっていますが、
最も有名なのは原子番号60番のネオジム(Nd)でしょうか。
ネオジムは最強の永久磁石とされ、高級なスピーカーやハイブリッド車のモーターに使われていますね。
磁力が強い理由に関しては、磁気の原理から説明する必要があるので詳しくは述べませんが、
簡単に言えば磁気を固定する力が非常に大きいからです。
ネオジムに鉄を入れれば、鉄の磁気に加えてネオジムの磁気も同一方向に固定するので、
全体として強力な磁気モーメント(磁石の力)が発生するという原理です。
以上が「レアアース」の説明です。
続いて「レアメタル」に移りましょう。
こちらは特定の元素グループというわけではなく、希少な金属をざっくりまとめただけの総称です。
スポンサーリンク
レアメタルとは?
「レアメタル」は、名前の通り希少な(レア)金属(メタル)の総称です。
「希少」という概念が社会にある程度依存するため、研究者や地域によって認識は異なり、
おおむね30~60種類程度という感じです。
日本のようにほとんどレアアースが産出できない国からみれば、62種の元素がレアメタルという認識でも問題ありません。
ただし、「レア」とはいっても、半分以上のレアメタルは存在量自体が極端に少ないわけではありません。
技術的な問題で純粋な金属を得ることが難しい、という背景が影響しています。
「チタン(原子番号22;Ti)」を例にとれば、銅などの一般金属よりもはるかに埋蔵量は多いのですが、
酸素と反応しやすいという性質から純粋なチタンを算出することが難しくレアメタルに分類されています。
他にも一時話題になった「インジウム(原子番号49;In)」は亜鉛の副産物として採掘されるので、
急激な需要の高まりに対応できず価格が高騰するといった経済的な要因もあります。
今後、レアメタルの産出技術さえ確立していけば、より安価に家電製品などを買えるようになるかもしれませんね。
日本はレアメタルこそほとんど採掘できませんが、
だからこそ磨いてきた世界一の製造技術があるので十分期待できると考えられます。
レアアースとレアメタルの違い
ここまで読んでいただけた方なら「レアアース」と「レアメタル」の違いはもう大丈夫でしょう。
確かに「レアアース」と「レアメタル」は名前が似ていて間違いやすいですが、
まったく別のものです。
簡単に2つの違いをまとめておくと、
「レアアース(希土類)」 ⇒ 周期表の左から3番目(3族)に位置する元素
「レアメタル」 ⇒ 名前の通り希少な(レア)金属(メタル)の総称
レアアースは元素の種類で、レアメタルはレアな金属のことです。
間違いやすいかもしれませんが、しっかり区別しておきましょう。
以上、『レアアース・レアメタルとは?ー違いと最強磁石のマグネット(ネオジム磁石)』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
「レアアース・レアメタルとは?|違いと最強磁石のマグネット(ネオジム磁石)」まとめ
レアアースとは?
・ レアアース(希土類)は、周期表の左から3番目(3族)に位置する元素
・ 大きな特徴として、酸素と結合しやすい、磁石になりやすいといった性質がある
レアメタルとは?
・ レアメタルは、希少な(レア)金属(メタル)の総称で、特定の元素グループを指すわけではない
・ 多くのレアメタルは存在量自体が極端に少ないわけではなく、技術的な問題で純粋な金属を得ることが難しいことが希少である原因