春を告げる象徴として日本人に愛され続ける「サクラ」。
新入生、新社会人を祝うかのようなその華々しさは多くの人々の心を癒します。
今回は『【サクラ】の雑学|狂い咲きの原因は?開花予想の原理は?』として
1、【ソメイヨシノ】はすべてクローン?
2、秋から咲き始める【狂い咲き】の原因
3、【開花予想】の原理
の3つを、”簡単に・わかりやすく” ご紹介します。
スポンサーリンク
サクラ|開花予想の原理・狂い咲きの原因
サクラ・ソメイヨシノはすべてクローン?
サクラの品種として真っ先に思い浮かべるのは「ソメイヨシノ(染井吉野)」ではないでしょうか?
この品種は、1個体を接ぎ木などで増やし続けた遺伝子の同じ個体、つまりクローンです。
最初の1個体は、江戸時代後期の江戸染井村の植木屋が発売した「吉野桜」です。
この1個体を受精させることなく増やし続けたため、現在では遺伝子の変異によりわずかな違いはありますが、基本的に江戸時代の「吉野桜」とほぼ同じだと考えて問題ありません。
補足として、ソメイヨシノはすべてほぼ同じ遺伝子をもつため、ソメイヨシノ同士では種子ができません。
他の品種のサクラとは種子を形成することがありますが、それはもうソメイヨシノではないため、やはりすべてクローンだと言い切ってよいでしょう。
次は、一部の地域や高山地帯でたまにみられる「狂い咲き」について説明します。
本来春に咲くはずのサクラが、なぜ秋から冬にかけて咲いているのでしょうか?
サクラ|狂い咲きの原因
サクラの狂い咲きは、主に花芽(花のもとになる芽:はなめ、かが)の休眠が失敗したために生じています。
サクラは夏に栄養をたくわえてあらかじめ花芽をつくっておきます。
その後、秋から冬は休眠し、2月からの気温上昇に反応して花を咲かせる準備を始めます。
この「休眠過程」がうまくいかないと、勝手に花芽が発育し始めてしまい、11月頃から桜が咲くという奇妙な現象になるのです。
サクラの狂い咲きの原因はいくつかあるのですが、「アブシジン酸」という休眠誘発物質が正常に作られないことが1つの原因です。
アブシジン酸は葉で作られているため、9月の台風や害虫などによって葉が大量に失われてしまうと、花芽に十分な休眠物質が届かなくなります。
その結果、花の準備が秋には出来上がってしまい、それ以降は寒かろうが関係なくサクラを咲かせてしまいます。
同様の原理で「冬桜」や「10月桜」は遺伝的に休眠物質が不足しているために、毎年「狂い咲き」がおきていると考えられています。
最後は「開花予想の原理」についてです。
毎年、民間の気象事業者が発表していますが、その誤差はほとんど3日以内と極めて優秀です。
どうやってそこまで正確に推定できるのかみていきましょう。
スポンサーリンク
サクラ|開花予想の原理
開花を予想することは、花芽の成長速度を予想するということです。
花芽の成長に大きくかかわっているのは
① 秋から冬にかけての休眠状態
② 休眠解除以降の気温
の2点です。
①の「秋から冬にかけての休眠状態」については、サクラは秋に休眠状態に入ってから低温の刺激をカウントしていて、それが一定以上になると突然休眠状態を解除します(休眠打破)。
「低温の刺激」は複数あると考えられていますが、単純な開花予想では、最もわかりやすい気温という数字を累積していって、ある値を超えたら花芽が目覚めると考えています。
よって、①は「秋から冬にかけての合計の気温」と大ざっぱに言い換えることはできます(正確な表現ではありません)。
②の「休眠解除以降の気温」は、花芽が目覚めてからの気温です。
温度によって花芽の発育速度が概ね決まっているので、こちらも単純な方法では「春先からの気温の合計」と言い換えられます。
よって、最も単純な開花予想は
「秋~冬の気温合計の水準」+「春先からの気温合計の水準」>「サクラの咲きはじめる気温合計の閾値(いきち)」
となります。
この方法でも誤差は10日以内でなかなかの的中率をみせます。
説明しやすいので、上記の方法を述べましたが、現在使われている予想方法も大きくは変わりません。
気温という情報をX、開花時期をYとして、過去のデータをすべて使って回帰式を導いているだけです。
サクラの開花の大部分が気温に左右されるので、簡単な計算式でも誤差が少ないのですね。
以上、『サクラの雑学ー狂い咲きの原因は?開花予想の原理は?』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
「サクラの雑学|狂い咲きの原因は?開花予想の原理は?」まとめ
ソメイヨシノはすべてクローン?
・ 1個体を接ぎ木などで増やし続けたクローン
・ ソメイヨシノ同士では種子ができない
狂い咲きの原因
・ 花芽の休眠が失敗することが主原因
・ アブシジン酸という休眠誘発物質が花芽に届かないことに起因する
・ アブシジン酸を作る葉が台風などで大量に失われた結果、休眠を誘発できなくなる
開花予想の原理
・ 開花を予想は、花芽の成長速度の予想に基づく
・ 単純な予想方法では「花芽の休眠中の気温」と「覚醒後の気温」をもとに計算される
・ サクラの開花の大部分が気温に左右されるので、簡単な計算式でも誤差は少ない