今回は「原子番号76,77,78,79,80」にあたる
オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(はっきん:Pt)、金(Au)、水銀(Hg)の説明です。
久しぶりに有名どころが豊富ですね。
今回はちゃんと気合を入れて書きます…少なくとも金だけは。
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原子番号76,77,78,79,80|オスニウム、イリジウム、白金、金、水銀/特徴・性質・名前の由来
原子番号76 オスニウム(Os)/特徴・性質・名前の由来
「原子番号76 オスニウム(Osmium)」の名前の由来は、ギリシア語の「臭い(Osme)」です。
名前の由来の通り、四酸化オスニウム(OsO4)は常温で気体となり、強烈なにおいと強い毒性を示します。
その一方で、四酸化オスニウムは酸化剤や酸化触媒として有用でもあります。
また、オスニウムはイリジウム(Ir)と並んで非常に重い物質で、
イリジウムとの合金は酸やアルカリに対する耐性が高いため、主に万年筆のペン先などに利用されています。
原子番号77 イリジウム(Ir)/特徴・性質・名前の由来
「原子番号77 イリジウム(Iridium)」の名前の由来は、ギリシア神話の虹の女神である「イリス(Iris)」です。
イリジウムはすべての金属の中で最も腐食・変質しにくいことで有名です。
工業的な用途は、先程述べたオスニウムとの合金くらいなのですが、
この元素の影響で、恐竜が絶滅した原因は巨大隕石の影響だと考えられています。
その理由は、地球上にイリジウムがほとんど存在していないにもかかわらず、
① 恐竜絶滅期の6,550億年前の地層(K/T境界)からイリジウムが相対的に多量に発見されていること
② 隕石の中にイリジウムが多量に含まれていること
の2点です。
原子番号78 白金(Pt)/特徴・性質・名前の由来
「原子番号78 白金(Platinum)」の名前の由来は、スペイン語の「小さな銀:プラチナ(Platina)」です。
ご存じの通り、銀白色で綺麗な「プラチナ」の白金です。
白金という和名自体は、プラチナがヨーロッパで「ホワイト・ゴールド」と呼ばれてることに起因します。
アクセサリーや硬貨の材料として有名ですが、その多くは金(Au)との合金で純粋な白金ではありません。
工業的にはキログラム原器や燃料電池の電極材に使われ、
医療的には抗がん剤(シスプラチン)として有用です。
原子番号79 金(Au)/特徴・性質・名前の由来
「原子番号79 金(Gold)」の名前の由来は、ラテン語の「太陽の輝き(Aurum)」です。
英語の「ゴールド(Gold)」という名称は、インドヨーロッパ語の「黄金(Geolo)」に由来します。
誰もが知っている極めて希少な金属元素が「金」です。
わかりやすく銅と比較すると、その存在量は地殻で銅の10万分の1以下です。
自然界で黄金色を放つ金属は金のみで、
この金色は、金が可視光の ”青~紫色” の光(波長)を吸収し、”赤~黄色” を反射するためです。
また、金の「輝き」の原理は、
元素の間を自由に動き回っている電子(自由電子)が光を反射(正確には吸収・放出)をすることでまばゆく見えているためです。
詳しくは『金属元素』の記事で説明していますので、興味のある方はぜひお読みください。
金の使い道として、装飾品や金貨などのイメージが強いと思いますが、
工業・医療分野においても非常に有益な金属です。
代表的なものには、腐食しにくく加工しやすい性質を利用した電子回路の電極、
医療的には抗リウマチ剤などに含まれています。
そして、安い金属から金を生み出す「錬金術」を絵空事と考えている方が多いかもしれませんが、
技術的には安価な水銀(Hg)とベリリウム(Be)から金を生成することができます。
これは人工的に元素を生み出す過程と同じで、
原子番号の1つ大きい水銀とベリリウムを加速器を使って核反応を生じさせ、最終的に金が生成される原理です。
ただし、現在の加速器と技術手法では、極めてわずかな金しか生成されないため、採算は合いません。
今後、加速器あるいは技術に抜本的な革新が生じれば、真の錬金術が可能となるかもしれませんね。
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原子番号80 水銀(Hg)/特徴・性質・名前の由来
「原子番号80 水銀(Mercury)」の名前の由来は、ローマ神話の商売の神である「メリクリウス(Mercurius)」です。
水銀は常温でも液体となる唯一の金属元素です。
その性質を利用し、温度計や体温計に使用されていることで有名ですね。
また、蛍光灯に封入されている蒸気も水銀です。
水俣病の原因としてメチル水銀が有名ですが、
一般に他の水銀化合物の毒性も強いため、現在ではほとんど使われていません。
以上、『原子番号76,77,78,79,80ーオスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(はっきん:Pt)、金(Au)、水銀(Hg)/特徴・性質・名前の由来』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
「原子番号76,77,78,79,80ーオスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(はっきん:Pt)、金(Au)、水銀(Hg)/特徴・性質・名前の由来」まとめ
原子番号76 オスニウム(Os)/特徴・性質・名前の由来
・ 四酸化オスニウム(OsO4)は常温で気体となり、強烈なにおいと強い毒性を示す
・ オスニウムは非常に重い物質で、万年筆のペン先などに利用されている
原子番号77 イリジウム(Ir)/特徴・性質・名前の由来
・ すべての金属の中で最も腐食・変質しにくい
・ この元素の影響で、恐竜が絶滅した原因は巨大隕石の影響だと考えられている
原子番号78 白金(Pt)/特徴・性質・名前の由来
・ 「プラチナ」の白金
・ アクセサリーや硬貨の材料として使用されているが、その多くは金との合金
・ キログラム原器抗がん剤として有用
原子番号79 金(Au)/特徴・性質・名前の由来
・ 極めて希少な金属元素
・ 装飾品や金貨のほか、電子回路の電極や抗リウマチ剤などに含まれている
・ 金の錬金術は技術的に可能だが、現在の機器と技術では採算が合わない
原子番号80 水銀(Hg)/特徴・性質・名前の由来
・ 常温で液体となる唯一の金属元素
・ 温度計や体温計に使用されているほか、蛍光灯にも封入されている
・ メチル水銀は水俣病の原因