科学の雑学Q&A 化学

氷に塩をかけると温度が下がるのはなぜ?|疑問を2分で!

投稿日:2019年7月6日 更新日:

 

今回は『熱の雑学』として、

氷に塩をかけると温度が下がるのはなぜ?

という疑問に、”わかりやすく・簡単に” 答えていきます。

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氷に塩をかけると温度が下がるのはなぜ?

氷に塩をかけると温度が下がるのはなぜ?

 

氷に塩をかけると温度が下がる理由」は、ずばり

【融解熱(ゆうかいねつ)】と【溶解熱(ようかいねつ)】によって周りから【熱を奪う】から

で、

 融解熱 ⇒ 【氷】が【水】になるとき【熱を吸収】する性質(周りの空気の熱を奪う → 温度が下がる)

 溶解熱 ⇒ 【水】に【塩】が溶けたときに【熱を吸収】する性質(周りの空気の熱を奪う → 温度が下がる)

2つの要因によって「温度が下がる」のです。

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わかりやすく「氷+塩で温度が下がるメカニズム」をまとめると

【氷】を【冷凍庫】から出す

⇒ 【氷】は少しずつ溶けて【水】になる

※ このとき、「水を氷にするために冷凍庫に入れて【冷やした(水の熱を奪った)】とき」と ”逆” で、「氷が水になるには周り(空気)から熱を奪う(氷が熱を吸収する)」必要がある(← 融解熱

⇒ 氷が水になるときの【融解熱】で【周りの空気】から熱を奪う(← 空気の温度が下がる)

※ 【水1g】あたりでおよそ【334J(ジュール)】の熱を奪う(ジュール:エネルギーの単位で、1J で100gのものを1m持ち上げるくらいの仕事量;1カロリー ≒ 4.2ジュール)

 氷に塩をかける

⇒ 氷が少し溶けてできた【水】と【塩】が混ざる

※ このとき、水に塩が溶けると熱を奪う性質(温度を奪う)がある(← 溶解熱

⇒ 【溶解熱】によって温度が下がると同時に、氷が水になる温度【融点】が下がる

※ 普通は0℃で氷がすべて水になるのに、-3℃など低い温度でもすべて水になるようになる(← 凝固点降下

⇒ 氷はより溶けやすくなって、氷 → 水に変化するときの【融解熱】によって熱を吸収する速度も加速

⇒ 水の部分がどんどん増えていき、塩とより混ざるようになり【溶解熱】も加速

⇒ 凝固点降下が進み、【融解熱】がさらに加速

という流れで

氷に塩をかけると【水になる速度が速くなっていく】から【温度を下げる反応】がより進む

わけです。

ただし

凝固点降下は【ー21.2℃】まで

なので、どんなに氷と塩があっても

永遠に温度を下げ続けられるわけではない

ことは覚えておいてください(温度が下がりすぎると塩水自体が凍って氷晶が分離します)。

 

また「溶解熱(水+塩で熱を吸収)が発生する理由」は少し複雑ですが、ざっくりいえば「水に塩が溶ける」とき

 塩 ⇒ NaClの結合が切れてNaとClのイオンに分かれる(← NaClの結合を切るためにエネルギーが必要なので、それを周りの空気からもらう = 吸熱反応)

 水 ⇒ 水素結合で安定していたのに、塩が入ってきたせいで結合が少し切れ不安定になる(水素結合を切るエネルギーが必要;ただしNa&Clイオンが水和するときは発熱

という何種類もの反応が合わさった結果

吸熱反応 > 発熱反応の熱収支

となるため

全体としては熱を吸収する(周りの温度を下げる)反応

になるわけです。

 

以上、『氷に塩をかけると温度が下がるのはなぜ?』について簡単にまとめました。

お読みいただきありがとうございました<(_ _)>

『氷に塩をかけると温度が下がるのはなぜ?』まとめ

 氷に塩をかけると温度が下がる理由 ⇒ 融解熱と溶解熱によって氷が熱を吸収し、周りの空気の温度をどんどん下げていくから

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