"/>

生物学

『肥満と脂肪細胞』ー肥満の原因は白色脂肪細胞?太る原因は成長期?

更新日:

 

近年、ヒトは年々太り続けています。

世界保健機関(WHO)のデータによれば、世界全体での肥満率は約4割です(日本の肥満定義である”BMI”25以上を適用)。

一方で、日本人の成人に限れば、男性が3割、女性が2割程度で、他の先進国と比べると低い割合となっています。

 

「なんだ、日本はまだマシなのか…」と安堵してはいけません。

アメリカの肥満の基準は、日本の基準よりもゆるく設定されているのですが、それは「アメリカが肥満を隠したいため」ではありません。

日本人がアメリカ人よりも「肥満に弱い」からです。

「太っているのは自己管理ができていないせい」という固定観念をお持ちの方には少し興味深い内容かもしれません。

ダイエット1

 

肥満に関する記事は2部構成で紹介しようと思います。

 

今回は『肥満と脂肪細胞ー肥満の原因は白色脂肪細胞?太る原因は成長期?』として、

「なぜヒトは太るのか?」に焦点を当て、「太るメカニズム」を説明していきます

次章では「日本人が太りやすい遺伝学的理由」を説明したのち、「やせ薬に関する最新の研究」をご紹介したいと思います。

スポンサーリンク

ad

『肥満と脂肪細胞』ー 肥満の原因は白色脂肪細胞?太る原因は成長期?

肥満とは?-「BMIと日本・アメリカの比較」

 

まずは「ヒトが太る理由」について説明していきましょう。

 

「太る=肥満」とは、「体内に過剰に脂肪が蓄えられた状態」のことを指します。

肥満の基準には「BMI(Body Mass Index)」という指標を用います

 

”BMI” という指標は聞いたことのある方が多いと思います。

せっかくなので、みなさんもBMIを調べてみましょう。

 

 BMIは、「体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)」で調べられます。

 

私の場合、体重70kg、身長170cm=1.7mなので、

BMI = 70 ÷ 1.7 ÷ 1.7 ≒ 24、となります。

 

数値が18.5より小さければ「低体重」、18.5以上25未満は「普通」、25以上で「肥満」となります(日本肥満学会の定義より)。

私は24なので、ギリギリ「普通」です。

危ない危ない…w

 

ちなみに、日本の肥満基準は「BMI25以上」ですが、肥満大国アメリカでは「BMI30以上」です。

 

これは「メタボリック症候群」と呼ばれる新陳代謝の異常(高血圧、糖尿病、脂質異常症)が発症するリスクが、

日本人はBMI25以上で2倍になるのに対し、アメリカ人は30以上だからです。

 

つまり、「日本人はアメリカ人よりも肥満に弱い」ということが言えます。

この理由については、次章で詳しく説明するとして、まずは肥満のメカニズムをひも解いていきましょう。

スポンサーリンク

ad

なぜ脂肪はたくわえられる?

 

肥満は「脂肪がたくわえられすぎたために起こる現象」なのですが、

そもそもなぜ人体は余分な脂肪を分解してくれないのでしょうか?

 

適度に脂肪をなくしてくれればダイエットで悩む必要はないのに…。。。

その理由はいたってシンプルです。

食糧不足を心配しているから」に過ぎません。

 

現代の先進国においては、お金さえあれば食べ物に困ることはありませんが、

かつて狩猟・採集民族だったころには「飢餓」が問題でした。

 

農耕の文化がなく、食糧の長期保存も困難だったときには、次にいつ食料を入手できるか不安定だったのです。

 

そこで人体は、食糧が豊富な時に得た余分なエネルギーは確保し、

エネルギーが不足するまではずっと体内に維持しておく能力を発達させていった(=脂肪をたくわえる理由と考えられています。

 

この特性はヒトに限ったことではありませんが、

現代のヒトが「動かずして食糧を獲得できる」ため、物理的要因と心理的要因が合わさることで肥満は加速してきていると考えられます。

 

次に科学的側面から「脂肪のメカニズム」をみていきます。

上記の文章だけでは、「太る理屈」を説明しただけで、メカニズムが解明されていませんね。

 

 

肥満の原因ー「白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞」

 

脂肪をたくわえる「脂肪細胞」には2種類あります

 

3つの化学結合

1、白色脂肪細胞

2、褐色脂肪細胞

 

このうち、肥満の原因となるのは「白色脂肪細胞」です。

「褐色脂肪細胞」は「脂肪細胞」という名前こそついていますが、むしろ中にあるミトコンドリアがエネルギーを放出してくれています。

 

ではなぜ脂肪細胞と呼ばれるのか、、、などと書いていくとまた脱線ばかりしてしまうので、今回は割愛します。

ちなみに、褐色なのはミトコンドリアの色からきています

 

なんとなく「ミトコンドリア」という名前は微生物っぽく「ミ、ド、リ」の字が含まれているので、

緑色というイメージをもたれやすいようですが、実際には細胞によって色は異なります。

 

鉄分の含有量が高ければ赤~褐色、銅を多く含めば黒ずんだ緑色に見えるケースもあります。

緑色という答えは完全に間違いだとは言えないわけですね。

加えて、「微生物っぽい」というのも誤りではなく、かつて細菌だった生物が細胞に寄生したと考えられています。

 

脱線しました。

 

肥満の原因は「白色脂肪細胞」にあるという内容でした。

白色脂肪細胞の数は一般に300億個ほどで、細胞の中は空洞になっているのですが、そこに脂肪をためこむことができます

 

肥満になるには、大きく分けて2通りあります。

1、白色脂肪細胞に脂肪が過剰にたくわえられる

2、白色脂肪細胞の数が増える

 

 

肥満の原因ー1、白色脂肪細胞に脂肪が余分にたくわえられる

まず「肥満の原因1、白色脂肪細胞に脂肪が余分にたくわえられる」ことについて。

 

白色脂肪細胞の中はもともと空洞になっているのですが、脂肪がたくわえられると細胞が膨張していきます。

中に脂肪をため込んでどんどん大きくなっていき、肥満が進むと初期の直径の20倍にまで膨れ上がります

 

こんな細胞が300億個もあるわけですから、脂肪がいくらあってもストックしておくことができますね。

 

 

肥満の原因ー2、白色脂肪細胞の数が増える

次に「肥満の原因2、白色脂肪細胞の数が増える」についてです。

 

始めに「白色脂肪細胞の数は一般に300億個ほど」と説明しましたが、この数値はBMIが「普通」の方の数値です。

肥満の方は、脂肪細胞が過度に分裂しており、倍の600億個にまで増殖するケースもあります

 

この細胞の増殖の仕方には、遺伝的要因に加え、環境要因が極めて大きいと考えられます。

「太りやすい体質」、「太りにくい体質」に分かれる要因の1つです。

 

白色脂肪細胞は常に増殖しているわけではなく、成長期に急激な増殖を行います。

具体的には、生まれる直前の「胎児期」、生まれた直後の「乳児期」、そして主に成長期にあたる「思春期」の3回です。

 

この3回の成長期に過剰な摂取を繰り返すと、白色脂肪細胞の数が平均より増えていき、結果「太りやすい体質」になります

 

もちろん、成人になってからでも摂取を控えれば、細胞数が多くても中に脂肪がたくわえられないので太ることはありませんが、

脂肪をたくわえる潜在能力=キャパシティとしては大きくなります

 

よって「太りやすい体質」には家庭環境も大きくかかわっているのですね。

 

補足として、先に挙げた3回ほど急速ではありませんが、成人後でも過剰摂取を繰り返せば「白色脂肪細胞の数」は増えていきます。

とにもかくにも、食べ過ぎれば体重がふえるだけでなく、「太りやすい体質」にもなると考えられますね。

 

 

以上、『肥満と脂肪細胞ー 肥満の原因は白色脂肪細胞?太る原因は成長期?』でした!

 

ここでいったん「肥満のメカニズム」は一区切りとします。

他にもインスリンの働きなど説明することはたくさんあるのですが、次章に持ち越します。

 

次章は『日本人が太りやすい理由-倹約遺伝子が原因?インスリンの影響?』として、

「日本人に多いアンチダイエット遺伝子」と「最新のやせ薬」に関する研究を紹介したいと思います。

お時間のあるお方は、最後のまとめだけでも読んでいただけるとありがたいです。

 

 

「肥満と脂肪細胞ー 肥満の原因は白色脂肪細胞?太る原因は成長期?」まとめ

肥満とは?

・ 肥満とは、体内に過剰に脂肪が蓄えられた状態のこと

・ 肥満の基準は、BMI「体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)」指標に基づく

・ BMIが、18.5未満は「低体重」、18.5以上25未満は「普通」、25以上は「肥満」

・ BMIによる肥満区分は、メタボリック症候群が発症するリスクが2倍となるBMI数値である

・ 日本の肥満基準は「BMI25以上」、アメリカでは「BMI30以上」

脂肪の役割

・ 飢餓を防ぐため

・ 飽食時にエネルギーを貯蓄し、食糧不足に備えている

肥満の原因ー「白色脂肪細胞と成長期」

1、白色脂肪細胞に脂肪が過剰にたくわえられる

・ 過食により、300億個もの白色脂肪細胞が脂肪で満たされることによる体重増加

2、白色脂肪細胞の数が増える

・ 白色脂肪細胞の主な増殖期(胎児期、乳児期、思春期)に過剰摂取を行い、細胞分裂を助長する

・ あるいは、慢性的な過食により細胞数が緩やかに増加し続ける

 

ad

ad

-生物学
-生物

Copyright© 科学情報誌(HOME) , 2018 AllRights Reserved.