ヒトの子はヒトです。
私たちの子供がサルだったらビックリしてしまいますねw
このことは「常識」として知られていますが、なぜそのようになるのかは長い間 ”謎” でした。
今回は『遺伝・遺伝子』として
1、遺伝・遺伝子とは?
2、遺伝学の歴史
3、「DNA」と「遺伝子」の違い
の3つを中心に、分かりやすくまとめていきたいと思います。
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遺伝・遺伝子とは?/遺伝子とDNAの違いは?
遺伝・遺伝子とは?
遺伝とは
生まれた子が親に似るという現象のこと
をいいます。
言い換えると
遺伝は、親の特徴が子に伝えられる現象のこと
です。
遺伝が科学的に説明されたのは、当時修道士であった
「グレゴール・メンデル」が1865年に発表した「植物雑種に関する研究」
という論文が初めてでした。
「メンデルの法則」については、次章でお話しします。
メンデル以前は、「遺伝」について経験的に知ってはいても、それを論理的に説明することはできていませんでした。
そのため、本来は「ダーウィンの進化論」に並ぶ大発見であったにも関わらず、彼の数学的な論文はまったく認められませんでした…。
彼の没後、1900年になり3人の学者によって、メンデルの研究成果の偉大さが再発見されます。
3人の学者それぞれが、異なる植物を材料に交配実験を行い、メンデルと同様の結論に達しました。
そこから、遺伝学は急速に進展していきます。
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遺伝学の歴史
1902年 「ウォルター・サットン」が「染色体説」を発表 ⇒ 細胞核の染色体が半分になり卵子と精子に分配されていることを発見
1909年 「ウィルヘイム・ヨハンセン」が、親から子に伝わる情報因子のこと「遺伝子(gene)」と命名
1926年 「トーマス・モーガン」が「遺伝子説」を発表 ⇒ 遺伝子が染色体上に並んでいることを発見
1944年 「オズワルド・エイブリー」が、肺炎双球菌の病原性実験を行い、遺伝子の実体が「DNA(デオキシリボ核酸)」であることを発見
1953年 「ジェームズ・ワトソン」と「フランシス・クリック」がDNAの構造を解明 ⇒ 塩基対に基づき「DNAの二重らせん構造」モデルを考案
ここで「遺伝子」という言葉が出てきましたが、情報因子と言われても釈然としませんよね。
「遺伝子」は体の設計図情報
にあたり
体を作るもととなる「アミノ酸」の並び方
が記されています。
この
「アミノ酸」が数珠つなぎなると「タンパク質」
となり
筋肉やホルモンといった生命のほとんどの部品が作れる
ようになります。
つまり
「遺伝子」とは「タンパク質のアミノ酸の並び方を記録した部分」であり、遺伝子情報に基づいて体を構築していく
わけです。
※ 画像は「基礎生物学シリーズ1 遺伝学(科学同人;中村千秋著)」より転載
この遺伝情報は、ヒトの場合で2万数千個あると測定されています。
では、よく聞く「DNA」と遺伝子は何が違うのでしょうか?
「DNA」と「遺伝子」の違い
DNAと遺伝子の違いは簡単です。
DNAは「遺伝子の集合体+α」で構成
されています。
タンパク質を1つを作るだけでも数個から数千個の遺伝子が必要ですが、そういった
遺伝子の集合体を「DNA」
と呼びます。
さらにその
「DNA」の集合体が「染色体」
に相当します。
ただし、「遺伝子」=「DNA」ではありません。
「DNA」には、遺伝子のほかに
遺伝子をどうやって、どこまで読むかという情報やタンパク質の合成をさまたげる情報
なども記載されています。
よって
「DNA」の一部が「遺伝子」にあたります。
さて、遺伝学の歴史の方に話を戻しますね。
1950年代から先は、DNAを中心とした応用研究が主体となって行きます。
1960年代後半にDNAの制限酵素(DNAを切る酵素)やリガーゼ(DNAをくっつける酵素)が発見されたことで、
「遺伝子組み換え」が可能
となり、また
「ゲノム」といわれる「個体を作るために必要な全ての遺伝情報」を解析することも可能
となりました。
ヒトゲノムと言えば、ヒトの24本すべて染色体がもつDNA情報(塩基配列の情報)のことを指します。
そして、こうした応用研究が「クローン」や「iPS細胞」に直接繋がっていきます。
少しジャンルが変わるので、『遺伝学ーバイオテクノロジー編』で詳細に説明したいと思います。
以上、『遺伝・遺伝子とはー遺伝子とDNAの違いは?』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
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「遺伝・遺伝子とは?ー遺伝子とDNAの違いは?」まとめ
1、遺伝:親の特徴が子に伝えられる現象
2、遺伝子:タンパク質の素となるアミノ酸の並び方を記録した部分
3、DNA:遺伝子の集合体+アルファ
4、染色体:DNAの集合体+アルファ
5、ゲノム:個体を作るために必要な全てのDNA情報