「1×0は?」と聞かれれば、全員が「0」と答えます。
しかし、その理由について問われるとほとんどの方が答えられません。
「0を掛けたら答えは絶対に0だ」と小学生のころ教わってきたとは思いますが、
実は ”答えが必ず0” になるわけではありません。
今回は『1×(かける)0=0/0を掛ければ答えは必ず0…ではない!証明付きで解説!』として、
「1×0=0の理由」と「∞×0は?」の2つをご紹介します。
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1×0=0/0を掛ければ答えは必ず0…ではない!証明付きで解説!
1×0=0の理由と答え(証明付き)
まずは「1×(かける)0=0の理由と答え(証明)」から。
1×0=0になる理由を説明するということは、1×0=0を証明するということです。
証明問題と聞くと抵抗を示す方が多いかもしれませんが、難しく考える必要はありません。
ただ矛盾することなく説明していけばよいだけです。
個人的には、数学を学ぶ一番の理由は、証明問題に代表されるような論理的思考力を磨くことだと強く感じています。
では、証明していきましょう。
大前提として、「0」という概念と「+」という記号は認めておいてください。
特に「+」の定義自体は意外と厄介なので、そこだけはご了承ください。
まず「1×0」を分解していきます。
1×0=1×(0+0)=1×0+1×0
ここまでは問題ないですよね。
見やすくするために、1×0を X と表現してみましょう。
1×0=X なので、
1×0+1×0=X+X
したがって、最初の「1×0=1×(0+0)=1×0+1×0」という式は
X=1×(0+0)=X+X
よって、X=2Xになりました。
ここで、Xの値を考えてみてください。
Xを2つ足しても、値がXのままです。
1を2倍すれば2、2を2倍すれば4です。
必ず値が変化しています。
実は2倍しても値が変わらない数は「0」だけです。
なぜなら「0」だけは、他の数字に足しても値が変わらないから(Y+0=Y)です。
よって、Xは0だったとわかりましたね。
ところで、Xとは何だったか思い出してください。
「1×0=X」でした。
X=0なので、1×0=X=0
これで「1×0=0」が証明できました。
いかがでしょうか?
実は大学の入試問題で出される証明問題も、取っ掛かりさえ掴めればこんな程度です。
もっと厳密に定義しないと減点はされますが、証明という響きに少しでも抵抗をなくしていただければ幸いです。
では、次に「0を掛けたら答えは絶対に0」になるのでしょうか?
掛ける対象が「数」ならば必ず0になりますが、無限大(∞)という概念(数列)だと「∞×0=0」は間違いです。
こちらも簡潔に証明していきましょう。
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「無限大(∞)×0」0を掛ければ答えは必ず0…ではない!(証明付き)
「無限大(∞)」という表現をご存じでしょうか?
言葉から連想される通りのイメージで大丈夫です。
例えば、1、2、3、4……… と永遠に増えていく数字を思い浮かべてください。
そのすべての数字を足すといくつになりますか?
永遠に数字が増えているわけなので、答えも永遠に増え続けますよね。
この限りなく増えていくことを「無限大(∞)」と表現しています。
このとき「無限大(∞)」は数字ではなく、あくまで無限に増えていく値という概念です。
では、本題の「∞×0」に移りましょう。
まず「∞」は1、2、3、4………と永遠に続く数字を足したものだとします。
次に、「0」も「∞」と同じように表現してみましょう。
「∞」が無限に続く概念なのだから「0」だって無限に続いたって問題ありません。
さっそく「0」を無限に続く式で表してみてください。
どういった式が思い浮かぶでしょうか。
ヒントは「∞ ⇒ 1×2×3×4×………」です。
難しいかもしれませんね。
「0 ⇒ 1×(1/2)×(1/3)×(1/4)×………」というのはどうでしょう。
これなら、右辺が後半にいくにつれて限りなく0に近づくので、そんなものをたくさんかけていけばほとんど0になります。
では、ヒントでも登場した「∞ ⇒ 1×2×3×4×………」と「0 ⇒ 1×(1/2)×(1/3)×(1/4)×………」を掛けてみましょう。
∞×0=(1×2×3×4×………)×(1×(1/2)×(1/3)×(1/4)×………)
おわかりになりましたか?
順番を入れ替えてみると、
∞×0=1×1×2×(1/2)×3×(1/3)×4×(1/4)× ……… =1×1×1×1 ……… =1
したがって、「∞×0=1」です。
なんと「∞」と「0」を無限に続く数列という概念で表してから掛けると「1」になりました。
ところで「0」は別の式でも表せますよね。
例えば、「0 ⇒ 1×(1/4)×(1/9)×(1/16)×………」と表現して、「∞」とかけてみてください。
この場合では、「0」の方が数字が小さくなる速度が速い(収束が速い)ので、「∞×0=0」です。
逆に「∞」の増える速度の方が速ければ(発散が速い)、「∞×0=∞」です。
ここで最初の「∞×0は?」という問いに答えておきましょう。
答えは「何でもない」です。
0にでも1にでもなるのだから答えようがないということです。
繰り返しになりますが、「∞」はあくまで概念で数字だとは思わないでください。
例えば「∞+1=∞」という式をみて、1を足してるのになんで同じままなんだ…とは考えないでください。
「無限に増え続けているところに1を足しても、やっぱり無限に増え続ける」という考えが正解です。
いかがだったでしょうか?
できるだけ難しい用語を避けて説明したつもりなので、中学生は大丈夫だと思いますが、小学生にも通用するのか不安です…。
以上、『1×(かける)0=0/0を掛ければ答えは必ず0…ではない!証明付きで解説!』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
次章では『1÷(割る)0/なぜ数を0で割ってはいけない?理由は?答えと証明は?』を説明します。
「1×0=0/0を掛ければ答えは必ず0…ではない!証明付き」まとめ
1×0=0の理由(答えと証明)
・ 1×0=0の証明
1×0=1×(0+0)=1×0+1×0
ここで1×0= X とすると、
X=1×0=1×0+1×0=X+X=2X
よって、Xを2つ足してもXの値は変わらない。
Y+α=Y(Y、αは実数)とすると α=0なので、
X=0
したがって、
X=1×0=0//
∞×0は?(答えは必ず0ではない)
・ 「∞×0」の解は、1でも0でもあって「何でもない」
・ 「∞ ⇒ 1×2×3×4×………」、「0 ⇒ 1×(1/2)×(1/3)×(1/4)×………」の数列で表すと「∞×0=1」
・ 「∞ ⇒ 1×2×3×4×………」、「0 ⇒ 1×(1/4)×(1/9)×(1/16)×………」の場合「∞×0=0」
・ 「∞ ⇒ 1×4×9×16×………」、「0 ⇒ 1×(1/2)×(1/3)×(1/4)×………」の場合「∞×0=∞」
・ 無限大(∞)は数字ではなく、あくまで無限に増えていく値という概念
・ 「∞+1=∞」という式は矛盾しているわけではなく、「無限に増え続けているところに1を足しても、やっぱり無限に増え続ける」という概念の考え