「香りマツタケ、味シメジ」と言われるように、非常に風味豊かなマツタケ。
現在では高級食材として扱われ、日本産の出荷量は100トンを下回り、市場には中国産が目立つようになりました。
今回は『マツタケーなぜ人工栽培できない?マツタケの生態は?』として
1、マツタケの生態
2、なぜ人工栽培できないのか
の2つをご紹介いたします。
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マツタケ|生態は?なぜ人工栽培できない?
マツタケの生態
マツタケはカビなどと同じ「菌類」の1種です。
植物に近いイメージをもたれている方がおられるかもしれませんが、遺伝的には動物寄りです。
マツタケは日本では主にアカマツの林に生えていますが、条件さえ整えばアカマツ同様、
他のマツやトウヒ属の木で繁殖することもできます。
まずは「なぜほとんどアカマツの林でしか生えていないのか」について説明していきましょう。
マツタケはトリュフなどと同じ「菌根菌」という種で、生きた植物の根と共存しなければ生きていけません。
これはマツタケが植物の根から直接エネルギー源の糖分を受け取っているためです。
ただし、「寄生」とは違います。
アカマツ側からみても、マツタケのおかげで土壌中のリンやカリウムなどの栄養分や水分を効率よく吸収できるので
「相利共生」の関係です。
ちなみに、今回のアカマツとマツタケのような「相利共生」の関係は植物にとって一般的で、
少なくとも陸上植物の9割以上はマツタケのような菌類をもっていると考えられています。
たまたまアカマツの生態とマツタケの生態が合致していたために、アカマツの林でマツタケが繁殖しているに過ぎません。
続いて「なぜマツタケの出荷量が減少しているのか」を説明していきましょう。
これはマツタケの繁殖力・生命力が他の菌に劣っていることが主な原因です。
近年では、アカマツを伐採する機会が減り、さらにマツ枯れ病という病気が蔓延したことで、
アカマツの林が放置されたり、林自体の面積が減少してきています。
そのため、減少したアカマツ林では、無造作に落ち葉がたまっていき栄養源が豊富な状態になります。
すると、今まで栄養不足で繁殖できなかった他の菌類たちがアカマツと共生するようになり、マツタケが排除されていきます。
こうして、マツタケの生息場所が奪われ30年前の10分の1にまで出荷量は減ってしまいました。
ヒトのおかげでマツタケは繁殖してこれた、という一面もあるのですね。
続いては「なぜマツタケは人工栽培できないのか」ご説明します。
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なぜマツタケは人工栽培できない?
多くのキノコは人工栽培可能で市場で安価に売られているのに、なぜマツタケはダメなのでしょうか?
マツタケは人工栽培できない理由は2つあります。
① 菌根菌だから:生きた植物が繁殖に必要なため、繁殖・栽培が困難
② 生態がよく分かっていないから:子孫の残し方(胞子形成)や成長条件に不明な点が多い
特に②が主な原因です。
菌根菌であるホンシメジなどは生態が十分に分かっているために人工栽培が可能です。
逆に、現在高級キノコと呼ばれる品種は不明な点が多く、食べられる大きさになるまで栽培することができていません。
今後有効な研究が蓄積されていけば、私たちの食卓にマツタケが並ぶ日は遠くないでしょう。
以上、『マツタケ|なぜ人工栽培できない?マツタケの生態は?』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
「マツタケ|生態は?なぜ人工栽培できない?」まとめ
マツタケの生態
・ マツタケはトリュフなどと同じ「菌根菌」で、生きた植物の根と共存しなければ生きていけない
・ マツタケは植物の根から糖分を受け取り、植物は栄養分と水分を受け取る(相利共生)
・ 陸上植物の9割以上はマツタケのような菌類をもっていると考えられている
なぜマツタケの出荷量が減少しているのか
・ マツタケの繁殖力・生命力が他の菌に劣っていることが主原因
・ アカマツの伐採減少とマツ枯れ病により、わずかなアカマツ林の土壌が栄養源に満ちた結果、他の菌類が繁殖しマツタケが減少した
なぜマツタケは人工栽培できないのか
① 菌根菌だから:生きた植物が繁殖に必要なため、繁殖・栽培が困難
② 生態がよく分かっていないから:子孫の残し方(胞子形成)や成長条件に不明な点が多い