「周期表」を理解することが、化学の原理を理解するための一番の近道です。
中学、高校時代の時に「水兵リーベ僕の船…」と20番のカルシウムまでは丸暗記した方も多いと思います。
今回は『周期表ー”周期表の覚え方・暗記法” と ”性質・特徴が似る理由(族)”』として、
「周期表とは?」、「周期表の性質・特徴が似ている原因(族)」、「周期表の覚え方・暗記法」の3つをご紹介します。
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周期表/覚え方・暗記法性質・特徴が似る理由(族)
周期表とは?
周期表とは、元素を陽子(電子)数の小さい順番に並べていった表のことです。
陽子数が1個と最も少ない水素が1番、陽子を2個持つヘリウムが2番、陽子3個のリチウムが3番…というように、
陽子数と原子番号は一致しています。
さらに、似たような性質をもつ元素を縦の列(=族)にそろえることで、
陽子数だけでなく化学的な性質がわかるように工夫されています。
ちなみに、2023年現在で原子は118種類が正式に認められていますが、
これはあくまで合成(発見)できた種類で、今後追記されていくと考えられます。
前の記事との重複になってしまいますが、
周期表の元素すべてが自然界に存在しているわけではないことは覚えておいてくださいね。
2023年時点では周期表の93番以降の元素+αは人工的に合成されたものです。
※ 検出できていないだけで、自然界に存在している可能性はあります
(プルトニウムなどいくつかの元素は自然界でもごく微量に確認されています)
また、よく誤解されがちですが「原子番号と原子の大きさが比例している」わけでは決してありません。
そう考えたくなる気持ちはわかりますが、「陽子」の存在を完全に忘れてしまっているために生じる誤解です。
原子は原子核と電子から構成されていますが、原子核は原子の10万分の1程度の大きさなので、
原子の大きさは原子内を規則的に飛び回っている電子によってほとんど決まっています。
そのため、電子の数が多くなれば(原子番号が大きくなれば)原子も大きくなる…と誤って考えてしまうのですね。
しかし、実際には「電子数=陽子数」なので、電子が多くなれば当然陽子も多くなります。
電子は負の電荷、陽子は正の電荷をもっているため、陽子の数が増えると原子の中心にプラスの電荷が集まる、
つまり電子を中心に引き付ける力が強くなります。
したがって、周期表の同じ縦のライン(族)を比べれば、確かに原子番号の大きさと原子の大きさは基本的に連動しますが、
周期表全体でみれば、原子番号と原子の大きさは全く連動していません。
理屈っぽくなり難しく感じてしまわれたかもしれませんが、
とにかく「原子番号 ≠ 原子の大きさ」とだけは覚えておいてください。
以上が「周期表の基礎知識」です。
続いては、周期表の縦のライン(族)で化学的な性質が似通る原因について説明します。
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周期表の性質・特徴が似ている理由(族)
元素の化学的な性質・特徴は「電子」によって決まります。
ただし、単純な電子の数ではなく、一番外側の軌道(最外殻)を運動している電子の数です。
「電子は決まった軌道上を運動している」と説明しましたが、
1つ1つの軌道上には、そこに入れる電子の上限が決まっています。
一番内側のK殻には2個、その外側のL殻には8個、次のM殻には18個と決まっています。
そして、電子は基本的にはできるだけ内側の軌道上を回ります。
この時、電子の数が軌道の上限いっぱいになると原子がより安定するため、
原子はできるだけ殻を埋めた状態にしておこうと運動します。
例えば、水素原子であれば、あと1つ電子が欲しいと考えて、
他のあと1つ電子が欲しい原子または分子と結合しようと思います。
そのため、水素原子(H)よりも水素ガス(H2)の状態を好むわけです。
化学の授業でも、軌道上の電子数が上限に達していない水素(H)やナトリウム(Na)、塩素(Cl)などはよく目にしたと思いますが、
上限いっぱいになっているヘリウム(He)やネオン(Ne)を見る機会は少なかったと思います。
以上が「周期表の化学的な性質・特徴が電子に起因する理由」です。
ここまで説明すると、周期表の縦のライン(=族)の性質が似通っている理由がもうお分りでしょうか?
周期表の族は、最も外側の軌道を回っている電子の数をもとに配置しているのですね。
そうすることで、他のどういった原子と結合しやすいかという性質を統一し、周期表の中でグループ分けしているのです。
最後は「周期表(原子番号)の覚え方・暗記法」です。
高校化学では20番のカルシウムまで覚えれば問題ないので、有名な「水兵リーベ…」をご紹介します。
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周期表の覚え方・暗記法
原子番号1番の水素から20番のカルシウムまでの「周期表の覚え方・暗記法」です。
「水兵リーベ僕の船 なぁ曲がるシップス クラークか」
↓
すい(水素:H) へい(ヘリウム:He) リー(リチウム:Li) ベ(ベリリウム:Be)
ぼ(ホウ素:B) く(炭素:C) の(NO;窒素:N、酸素:O) ふ(フッ素:F) ね(ネオン:Ne)
なぁ(ナトリウム:Na) まがーる(MAGAL;マグネシウム:Mg、アルミニウム:Al)
シップス(SHIPS;ケイ素:Si、リン:P、硫黄:S)
クラーク(CLARK;塩素:Cl、アルゴン:Ar、カリウム:K) か(カルシウム:Ca)
最初のうちは「周期表の覚え方・暗記法」なんて言っておいて大した語呂合わせになっていなく苦労するかもしれませんが、
一度覚えるとおそらく死ぬまで忘れません。
慣れないうちは、必ず20種類全部あるか確認して欠落がないように注意してくださいね。
以上、『周期表ー”周期表の覚え方・暗記法” と ”性質・特徴が似る理由(族)”』でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
「周期表の基礎知識ー性質が似る理由と周期表の覚え方」まとめ
周期表とは?
・ 周期表とは、元素を陽子(電子)数の小さい順番に並べていった表のこと
・ 陽子(電子)数と原子番号は一致している
・ 似たような性質をもつ元素を縦の列(=族)にそろえている
・ 原子番号 ≠ 原子の大きさ(原子番号と原子の大きさは連動しない)
・ 周期表の元素すべてが自然界に存在しているわけではない(周期表の93番以降の元素+αは人工的に合成されたもの)
周期表の性質・特徴が似ている理由(族)
・ 元素の化学的な性質・特徴は、一番外側の軌道(最外殻)を運動している「電子」によって決まる
・ 最外殻の電子数が上限に達すると原子がより安定するため、最外殻電子数が共通していれば性質が似通る
・ 周期表の族は、最外殻を運動している電子の数をもとに配置している
周期表の覚え方・暗記法
・ 水兵リーベ僕の船 なぁ曲がるシップス クラークか
すい(水素:H) へい(ヘリウム:He) リー(リチウム:Li) ベ(ベリリウム:Be)
ぼ(ホウ素:B) く(炭素:C) の(NO;窒素:N、酸素:O) ふ(フッ素:F) ね(ネオン:Ne)
なぁ(ナトリウム:Na) まがーる(MAGAL;マグネシウム:Mg、アルミニウム:Al)
シップス(SHIPS;ケイ素:Si、リン:P、硫黄:S)
クラーク(CLARK;塩素:Cl、アルゴン:Ar、カリウム:K) か(カルシウム:Ca)